弊社は現会長にあたる私の父により昭和44年に創業され、競走馬運送を専門とする運送会社として歩み続けてきました。
私は大江運送を継ぐ気こそありませんでしたが、学生時代から何か事業をやりたいという思いは抱いていました。
父から事業についての話を改めていろいろと聞いたのは私が20歳くらいの頃です。
事業が非常に好調な時期だったということもありますが、父の笑顔があまりにも緩んでいて緊張感に欠けていたことが、「この会社の先行きは大丈夫だろうか」と気にかかった最初のきっかけでした。
そして、この会社があったからこそこれまで生活してこれた事実を振り返ると、自分の力をこの会社のために役立てることが恩返しなのではないかと考えるようになりました。
その後2004年、私から頭を下げる形で入社に至り、2019年に代表取締役に就任致しました。
現在の仕事についた経緯
仕事へのこだわり
常に追い求めているのは、馬を牧場でお預かりしてからトレーニングセンターにお届けするまでのプロセスを、まるで瞬間移動したかのように済ませることです。
いわば馬に一切ストレスを感じさせない、体にも疲労を残させない輸送を心がけています。
特に馬は臆病で神経質な動物ですから、急ブレーキを絶対にかけないような柔らかい運転はさることながら、馬の居心地のよさに繋がると感じられた設備は積極的に取り入れるようにしています。
たとえば音楽が聴けるようにしたり、プラズマクラスターを搭載したりといったことですね。
輸送中のトラブル、危険を回避するために馬1頭当たりのスペースを広く取って、最大積載頭数を減らすという試みをいち早く行ったのも弊社でした。
また、馬は人の気持ちもよく理解しているので、常にゆったりとした気構えを持ち、丁寧に仕事するようにも心がけています。
馬輸送は基本的に2人で乗務するため、馬だけでなく人に対しても気遣いができるか否かは需要な点です。
今後の目標
私が現在問題視しているのは、同業者間における無駄な輸送です。たとえば閑散期になると、預かり先も届け先も同一であるに関わらず、3社が1頭ずつの馬を輸送するために3台のトラックを別々に走らせるなど、労力・コスト共に浪費するケースが数々見受けられます。
この場合であれば、1台で3頭をまとめて運ぶように業務提携を結ぶなどし、業界全体の業務効率化に繋げていければと考えています。
また、会社の規模を1.5倍程度に拡大していくことも具体的に検討しており、十分な人材を採用するために、現在は未経験の方でも安心して入社して頂けるような教育体制を整えている段階です。
競走馬の輸送というと、高度な運転技術が求められることから「未経験では難しいのでは」と考える方が多いのですが、むしろ未経験の方のほうが運転にクセがないため、習得しやすいといった面があります。
よって、弊社としては未経験であってもこの仕事に興味のある方ならどなたでもウェルカムですし、ぜひこの仕事のやりがいを知って頂きたいと思っています。
若者へのメッセージ
「激動の時代」と言われるような変化のスピード感は今後も衰えず、むしろどんどん増していくでしょう。実際に世界を見れば、すでにメタバースにて競馬が展開されており、暗号資産を使って馬の取引が行われています。
私としては、人と馬がダイレクトに接する機会や、実際の競馬場で観戦する生のエンターテインメントの形をこれからも追及していくつもりですが、それでもバーチャルの世界を含め、この時勢の一切を変化させなければ何も始まらないでしょう。
よって、このような変化の激しい時代の中に生きる皆さんだからこそ、常に柔らかい思考で考えることをやめないようにして頂きたいと思います。