筑波大学生命環境学群生物資源卒業。九州大学大学院工学府都市環境システム工学専攻博士前期課程修了。九州大学大学院同研究室博士後期課程在籍。日本学術振興会特別研究員(DC1)。宇宙航空研究開発機構(JAXA), 独立行政法人経済産業研究所(RIETI), 金融機関, 国際共同研究プロジェクトなどのリサーチアシスタントを歴任。専門は、計量経済学、環境経済学、情報工学。研究テーマは、衛星データを活用した都市の豊かさの分析、音声解析深層学習モデルによるWell-beingの評価、自然言語処理を用いた金融機関データ解析など。2021年より個人事業主としてデータサイエンスやWeb開発の受託事業を開始。2022年6月、株式会社RIWBを設立、CEOに就任。同年、大学発スタートアップ株式会社aiESGにAI/システムの開発責任者として参画。
略歴
現在の仕事についた経緯
私は幼い頃から社会問題や人々の幸福に関心を持っていました。きっかけとなったのは、小学校の時に当時、世界最貧国と言われていたバングラデシュに訪問したことです。最貧国とはいえ、都市部にそびえ立つ建物は立派でした。しかし、裏路地に一歩入ると、路上で生活をする同世代のストリートチルドレンで溢れていました。自分たちの力ではどうすることもできない格差を肌で感じるからか、彼らの目はとても悲しそうでした。農村部は、同世代の子どもたちが裸足でいたり、電気も動力もまともになかったり、とても貧しく小さい村々でした。一方で、格差がなくみんな等しく貧しいからか、子どもたちの目はキラキラ輝きとても幸せそうでした。
この経験は「豊かさ」や「幸福」について心を揺さぶられる原体験となりしました。その後、高校や大学では、災害ボランティア・有機農家でのアルバイト・交換留学をしたり、博士後期課程では、データを活用した社会の豊かさの評価を研究したり、どうしたらみなが幸福な社会をつくることができるのかを考えてきました。
一方で、幸福な社会を専門的に研究する中で、見えてきた課題もあります。それは、どんなに社会の制度や構造を整えたとしても、それを幸福だと感じられるかは、最終的には1人ひとりの感性に委ねられるということです。「社会(マクロ)的な軸」からのアプローチだけでなく、「個人(ミクロ)的な軸」からも働きかける必要性を感じ始めました。
私が「Well-being」という言葉を深く理解するようになったのもこのころです。Well-beingは、「善い(Well)」と「存在(Being)」に分解することができます。これは、人間本来の「善い存在」を追求することが本質的な幸福に繋がるという意味です。
私は、個々人が心から「善い存在」を目指せる社会の実現に向けて、高い専門性を持って社会軸と個人軸の双方から貢献したいと考えています。そのような背景から、「Well-beingの研究&社会実装機関」という意味を込めて、RIWB (リウェビー) を設立いたしました。
仕事へのこだわり
私は経営において、①RIWBという組織の存在目的に耳を傾けることと②メンバーの本質的自己に向き合うことの2点にこだわっています。
●RIWBの存在目的
私は、RIWBを「Well-beingの研究&社会実装機関」という存在目的が備わった一人格者として組織しました。資本主義を前提とする現行の会社法においては、株式会社のオーナー(所有者)は最終的な意思決定権が保証されています。しかし、親が子どもの人格を無視して自分の意向通りに養育できないのと同様、いかなる立場の人間も、一人格者であるRIWB自体の自由意志を蔑ろすることは許されないと考えています。私はRIWBの経営において、RIWBの存在目的から自分自身のエゴ(自我)を切り分けること、さらには、その能力を高めることに努めています。
●メンバーの本質的自己
私は、本質的自己を追求する過程こそが人間の人格的な成長であり、Well-beingの基盤だと考えています。一方で、本質的自己に向き合うことは簡単ではありません。事実、自分の本質について真剣に考え抜いたことがある人は決して多くないと思います。しかし、原理的には、「Well-beingに寄与する」というRIWBのビジョンは、Well-beingな組織や人間にしか成しえません。そのため、私は、メンバー1人ひとりが当たり前に本質的自己に向き合える組織文化の形成に強くこだわっています。特に、人を動かす際に、相手の自我を逆手に取っていないか、その延長線上に本質的自己との向き合いはあるのかを真剣に考えています。
若者へのメッセージ
自分自身の本質的存在と徹底的に向き合ってください。