弊社は先代社長である私の父によって昭和56年に設立された会社で、創業より呉服業を営み90年になります。
私は大学卒業後、大好きな車に関わりたいと本田技研工業株式会社に入社し、約5年半勤務しました。しかしとあるタイミングで父から事業承継についての話があり、それを機に弊社に入社した形になります。
入社してすぐの1年間は営業職に従事し、2年目は専務に昇進、その後、父の急逝を受けて代表取締役に就任しました。

現在の仕事についた経緯
仕事へのこだわり
代表の座に就いてから11年が経ちましたが、当初は経営のことはおろか業界のこともわからず、最初の5~6年間はほぼ営業業務に注力していました。
しかしその中でのさまざまな出会いや学びを通じて、私なりの会社の定義や経営者としての信念を獲得し、現在に至っています。
それは、まず会社とは世の中に貢献すべき存在であり、貢献できるからこそ成り立つものだということです。ではどのように貢献するかと言うと、主に2つの面があるかと思います。
1つ目はお客様によりよい価値を提供することです。お客様に新たな喜び・感動を与えるからこそ、その対価として報酬を頂戴し、会社が存続できるとも言えます。
2つ目は雇用です。会社として雇用創出ができるかどうかという点は、社会貢献においても、会社のバロメーターとしても重要な要素だと思います。
雇用規模が1人なのか、はたまた10人なのかという点はあまり問題でなく、むしろ雇用した人達がただ働くだけでなく、働きながら自己成長し、ひいては自立的な態度を持って仕事に取り組めるように促していくことが、理想的な組織だと捉えています。
この2点を図っていくためにも、日頃から社員達と密なコミュニケーションを取るように心掛けており、月に1度は社員面談の機会を設けて社員の現在の視点や思い、課題などを共有し、1人1人との繋がりを強固にしながら共に歩んでいけるように努めています。
今後の目標
呉服業の市場規模は昔と比較すると年々縮小傾向にあります。今後さらに縮小されるのか、キープされるのか、はたまた拡大傾向に入っていくのかは不透明なところですが、どのような形でも会社存続を図っていくことが2代目としての私の1つの責務だと捉えています。
その上ではやはり、会社内の仕組みの部分や、現在弊社に不足しているコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力などの向上を目指していくことが課題となります。
さらには、呉服業という1つの柱のみに縛られるのではなく、今の時代やニーズに合わせた新たなコンテンツ、手法を展開していく必要があるでしょう。
したがって、現在は複数の事業の柱を構築できるように注力しているところです。
ゆくゆくは私が経営者という立場になって以降、獲得してきた知見やノウハウを活用し、まったく新しい事業を興すことにもぜひチャレンジしてみたい所存です。
若者へのメッセージ
「できる」「できない」で目の前のことを判断しないでもらいたいなと思います。
物事における見方とは非常に重要なもので、「できない」と思えばやはりできなくなってしまいます。よって、まずは「できる」と信じて頂きたいです。その上で自分の資質や力、経験、スキルなど、いわば自分の資源というものをしっかりと洗い出し、「できる」可能性を自分の中で作ったり、高めていったりという努力を行うことが重要だと思います。
また、私が日頃からよく口にすることですが、最もエネルギーの源となるものは、「目標」ではなく「目的」です。「何のためにこの仕事をするのか」、「何のためにお客様を喜ばせるのか」、さらには「誰のためにこの仕事をするのか」など、物事はすべて目的に帰結します。
よって、「何のために」という目的をきちんと追求できれば、今よりもっと大きなパワーやモチベーションが湧き上がってくると思います。