慶應義塾大学経済学部卒業。1988年、株式会社東海銀行(現 三菱UFJ銀行)入行。1993年に青雲クラウン入社、2004年に同社代表取締役社長就任。リサイクルトナーを手掛けるケイティケイの代表取締役社長に就任した2012年以降は、物流、ITソリューション、デジタルマーケティング等の幅広い分野にグループを拡大し、グループ全体でSDGs貢献やDX推進に取り組む。
略歴
現在の仕事についた経緯
文具事務用品の卸業である青雲クラウン(創業明治8年、1875年)の4代目として生まれました。銀行勤務を経て家業に戻り、業界での経験を積みながら考えていたのは、激動する時代に立ち向かうには従来の業界の枠のみに留まっていてはいけないということです。
ケイティケイとSBMソリューションは青雲クラウンの取引先でしたが、将来を見据え変化に柔軟に対応する為には、束になって力を合わせるべきとの真剣な話し合いを重ね、現在のケイティケイグループを形成しました。
業界内の合従連衡は水平型の場合が多いですが、当社グループは川上にあたる生産部門、川中にあたる調達部門、川下にあたる直販部門と代販部門を持ち合わせた垂直統合型として発足しています。
仕事へのこだわり
未来から逆引きする思考で取り組んでいます。
若い頃は日々の仕事もドタバタで、決してスマートな働き方をしてきたとは言えませんが、二つの時間軸を持とうと意識してきました。足元で起きている事を少し先の視点で考えたり、結構遠い未来からバックキャスティングの思考で考えるように心掛けたりしてきたつもりです。そうは言っても現実は大変なことばかりですが…。
また、奴雁であるべきとも思っています。奴雁とは雁の群れが餌をついばむ時に、仲間が外敵に襲われぬよう首を高くして周囲を警戒する一羽の雁のことですが、組織に対し責任を持つ者として常に心に留めています。
当社の強み、環境意識への想い
世の中の理解や時代背景の変化に伴い、様々な分野でIT化やDXが進んでいく中、自社で情報システム専門部署を持つことが難しいと悩まれている中小企業様は少なくありません。当社はそういった皆様のパートナーとして、中小企業ならではのIT、DXを提供できるということを強みとしています。
例えば、近年多くのお客様が課題として持たれているペーパーレス化への取り組みにおいては、ただ単に紙を使わないようにしましょうということではなくて、紙をマネジメントして使うことによる経費削減をご提案しています。このように、当社は業務のDXなどに対して最適なソリューションをご提案し、ともに課題解決していくことを目指しています。
また、当社の主力製品であるリサイクルトナーにおいては、使用済みのトナーカートリッジを回収して再利用することで、CO2排出量や廃プラスチックの削減を実現しています。再利用できない部品についても再資源化をして、無駄な廃棄物を出さない「ゼロエミッション」を達成しています。
さらに、リサイクルトナーの自社工場では太陽光発電による再生可能エネルギーを活用した生産活動を行っており、「障がい者雇用」にも積極的に取り組むことで、多くの障がいをお持ちの方々にも生産過程に携わっていただいています。
このリサイクルトナーが生み出す「循環」の仕組みで、当社は循環型社会への貢献を図っています。それと同時に、リサイクルトナーをご使用いただいているお客様のプリンターに「SDGs貢献シール」を貼ることにより、私たちだけでなく、使っていただいている方々の環境への意識向上も目指しています。つくる人、使う人、みんなの環境への意識を高めていきたいですね。
今まで、「リサイクル=経費削減」という認識が多かったと思いますが、そこにどんな意味があるか、意義があるか、みんなが「そうだよね」と納得できるように「サステナビリティ」に対してきちんと再定義することが必要だと考えています。
若者へのメッセージ
「出る杭を伸ばす」と言っています。
変化は常に辺境から起き、やがてそれが時代の中心となるのは世の常です。最近ではスタートアップ、起業家という言葉を日常的に聞くようになりましたが、それでも世界に比べると日本のアグレッシブさは足りていないのではと危機感を持っています。
組織に属している若者が、社歴の長い先輩の価値観に違和感を覚えても、それに対して自分の考えをきちんと発言するのにパワーがいることは承知しています。しかし、世代が違えば見える世界が違うのは当たり前です。お互いが感じる違いをいかに理解し合えるかが重要だと思います。
若者は「出る杭」と思われても発言し、「出る杭を叩く」と無意識に行動してしまう従来型組織に対して正々堂々と立ち向い、未来を切り拓く気概を持ってほしいと思います。