Chikusa Hiroshi

千種啓資

有限会社日の出屋製菓 代表取締役社長 https://www.hinodeya-seika.net/

略歴

京都外国語大学外国語学部英米語学科卒業。大学在学中にバンタンキャリアスクールで服飾・色彩・VMD・マーケティング・shopディレクション等を学ぶ。卒業後アパレル企業BEAMS入社。主に東海圏の店舗で約8年勤務。(有)日の出屋製菓入社、2020年代表取締役社長に就任。2021年旅菓子ブランド「tabinoondo」をスタート。本業と並行して地域やまちづくりの活動にも参画。菰野町観光協会理事 まちづくり「こもガク」実行委員長を務める。

現在の仕事についた経緯

学生時代から服飾の道を目指しており大学卒業後、アパレル企業BEAMSに入社し主に名古屋を中心に東海エリアの店舗で働いていました。服だけではなく、異業種コラボや、民芸、雑貨、モダンリビング、音楽、アートとライフスタイル全般やカルチャーを取り揃えた会社だったので、20代で色々なヒト・モノ・コトに触れられたのはとても良い経験でした。小売の感覚や店舗のMD・VMD等お店づくりの勉強にもなりました。10年程勤務して、現在の(有)日の出屋製菓に入社します。当時「リブランディング」という言葉が世の中に出始めていた時代で、面白く感じていました。d&department主宰のナガオカケンメイさんの本などにも強く感銘を受けていて、ちょうど家業をどうするかという話が出ていたタイミングだったので、「そういえばうちにも永く続くロングライフな商品があるな」と感じ、家業のリブランディングを志して、一念発起して前職を退社し、祖父が1957年に起業した(有)日の出屋製菓に入社しました。

仕事へのこだわり

能楽の世界に「守破離」という言葉がありますが、全くの異業種から今の会社に入社したので、まず5年くらいは「守」の部分を忠実に身に付けようと思いましたが、若さもあり、「このままでいいんだろうか」と焦りや葛藤もありました。弊社は半世紀以上観光土産菓子を作り続けていますが、伝統も大事だと思う反面、旧態依然とした所も多く、停滞している部分もありました。会社の中だけで働いていると、自分がやりたかった事が本当に実現できるんだろうかと色々と思い悩む時期でもありましたが、地域で働くうちにまちづくりや観光に携わる同世代の地元の仲間との出会いが増え、外との接点が増え始めます。異業種の経営者との交流など多様な価値観に触れる中で、自分ひとりで考えていても上手くいかない事に気づき、もっと積極的に外の世界と交流を持つこと、自分が目指す所に近づけるように、自分自身がそういう出会いが起きそうな所にポジショニングするように心がけていました。弊社は観光土産菓子を作る会社なので、そもそもその地域や観光の盛り上がりが無ければ商品は売れません。自社だけではなく地域全体として見る視点を持ち始めた所から、いろんなご縁が繋がり始めるようになりました。現在は本職の日の出屋製菓の代表を務める傍ら、地元の観光協会の理事職や、地場産業の発展を目指すまちづくりイベントの運営などを行っています。多種多様な業界の方とのふれあいの中で、とても学びも多く、自社の経営にも役立つ事が沢山あります。松下幸之助さんの言葉で「知らない事は知ってる人に聞けばいい」という言葉が好きで、ひとりではできないけど出会いの数だけできる事が増えていくと思います。
今現在は多くの方との関わりの中で複数のプロジェクトを進めています。2020年に代表に就任し、2021年には自社ブランドを立ち上げましたが、「守破離」の「破」「離」まで到達するのに結果的に10年以上の歳月を要しました。またこれからも、いくつになっても知らない事を素直に聞ける謙虚さと、ご縁をカタチにできるアイデアやフットワークは持ち続けていたいと思います。

若者へのメッセージ

若い時は失敗も挫折も沢山しましたが、仕事も趣味もいろんな所へ出かけて多様な価値観に触れるのはとても大事だと思います。うまくいかない事も沢山あると思いますが、自分の芯や信念みたいものは持ち続けて、それを「意識」しながらそういった出会いが起きそうな所へ自分を動かしていく。そういった事が大事なのではないかと思います。そもそもそういうものが無いという方もいらっしゃると思いますが、だからこそ動いているといろんなご縁のなかで自分のベースが出来上がっていくと思います。何かの仕事を極めて行くのにその分野の日々の勉強や努力はもちろん必要だと思いますが、その上で、知らない事は素直に聞ける姿勢と思い立ったら行動してみるというスタンスが大事かなと思います。私自身も今もなおトライ&エラーを繰り返しの日々を送っています。ですが、その中でやっぱり人とのご縁の大切さを日々感じているところです。1つの出会いでガラッと自分の価値観や意識が変わる事も人生の中にはあると思いますので、そういう出会いにひとつでも多く巡り合えるようにフラットな姿勢で日々過ごされていく事をおすすめ致します。