Goto Aya

後藤 亜也

一般社団法人グローバル・ピース・ファウンデーション・ジャパン 代表理事 https://gpf.jp/

略歴

慶應義塾大学理工学部で環境化学を専攻。卒業後は国際NGOの立ち上げに関わり、2001年に米国ニューヨーク州に家族とともに移住。2011年からシアトルに移動。
2009年に国際NPOのグローバル・ピース・ファウンデーション(GPF)の設立から現在まで執行役員(上級副会長)として世界20数カ国の支部やアフィリエイトをスーパーバイズしている。
GPFは国連特殊諮問資格を持つ501(c)(3)団体。2012年から日本支部である一般社団法人グローバル・ピース・ファウンデーション・ジャパンの代表理事を兼任。

現在の仕事についた経緯

私は、世界で起こる紛争や戦争の原因が、人種・宗教・文化などのアイデンティティの違いから生じるコンフリクト(葛藤・摩擦)であると考えていました。そこで、「違い」を超えて共通のアイデンティティを持つことができるようにファシリテートしたり、共通の課題を解決するために協働したりすることで平和構築に貢献したいという志を持つ人たちが集まって米国で2009年に設立したのがグローバル・ピース・ファウンデーション(GPF)です。
世界17カ所で支部を開設しましたが、2012年には日本でも事業を始めることになり、私が代表理事として一般社団法人グローバル・ピース・ファウンデーション・ジャパンを設立しました。

仕事へのこだわり

国際業務のコミュニケーションでは英語が必須です。米国に移住してから、事務所の会話や海外とのメールのやり取りなどを通して、英語を覚えていきましたが、結局使った英語しか身につかないことを実感しました。ただ、言葉が通じるようになっても、文化の違いによる認識や理解の違いに悩まされました。
また、違う国のリーダー同士が感情的に難しい関係になっているのを、間に入って前に向かわせることも何度も経験しました。EQといわれるEmotional intelligenceが大切だということですね。例えば、大きな国際イベントの前には、運営スタッフがストレスを抱えて裏方は感情的に大変なことはよくあるのですが、私自身はその感情に左右されずに、客観的に達観しながらポジティブに対応するように心がけてきました。そのためには全体のプロセスを誰よりも把握していなければいけません。GPFのスタッフ自身がまず「違い」を超える視点を持って、行動に反映させなければいけないと感じています。

私たちが世界各地で実施している平和構築のための社会プログラムは、アイデンティティの「違い」を超えて、共通のアイデンティティに持ちながらコミュニティのために協働していくプロセスを支援するものです。新型コロナが世界的に感染爆発する直前、2020年2月に私はナイジェリアに行っていました。ナイジェリアはキリスト教徒とイスラム教徒が半数ずつに南北に分かれています。中間地域では殺害事件に発展するような深刻な争いが頻発していました。
そこで実施している「One Family Under God平和構築プログラム」の成果は米国政府の注目を集め、米国政府から財政支援を受けるようになっています。現地のGPFスタッフはキリスト教リーダーとイスラム教リーダーなのですが、彼らのコミットメントと尽力は計り知れないものがあります。

若者へのメッセージ

日本の若者には世界や異文化を経験してほしいです。インターネットやSNSが普及して、地理的距離には縛られなくなりましたが、実際の人間関係を作ることができるかは別問題です。信頼できる友人を作り、家族のような人間関係を作ることが平和の礎になります。
海外で時々、その国の悪口を言ったり、日本食堂ばかりを探したりしている日本人を見かけることがありますが、私はちょっと残念になります。現地の人たちの素晴らしさを発見し、現地の人が美味しいという現地フードを食べましょう。沢山学ぶことがあります。
そこで発見するのは、人間の普遍性や共通性です。宗教や文化が違っても、豊かでも貧しくても、人は誰でも幸福と平和を求め、助け合える人間関係を貴重に思い、家族を大切にしているということです。ごく当たり前のことですが、これを「体感」することが将来に残る財産になりますし、期待されるリーダーの要件だと思います。
日本では、多文化の背景をもった人たちがワンファミリーとなることを目指す「多文化おもてなしフェスティバル」をGPFは毎年開催しています。今年は11月23日(祝)に錦糸町駅前のすみだ産業会館で開催します。是非多くの方々に参加して頂き、ワンファミリーの文化を経験してほしいです。