Hoshijima Hiroshi

星島 宏

星島被服興業株式会社 代表取締役社長 http://happy-return.jp/

現在の仕事についた経緯

弊社は昭和48年に祖父と祖母が立ち上げた会社です。
私は大学を卒業し、19年間河合産業という岡山県倉敷市の児島の会社に勤めさせてもらいました。42歳の時に、父も母も叔父叔母と親族一同で経営をしていたものですから、「そろそろ帰って来て跡を継ぐ準備をしてくれないか」と言われ42歳の時に実家に戻りました。
私はサラリーマン時代、メーカーに勤めており、メーカーから下請けに仕事を依頼するというポジションでした。そのため、下請けが経営を続けていくことが非常に難しいというのは、実体験も含めて見聞きしていました。正直なところ、家業を継ぐというのは非常にプレッシャーもあり、期待感というよりは怖さの方が強かったですね。

仕事へのこだわり

弊社は従業員も30名くらいいるので、縫製工場としては中堅クラスの大きさです。それぐらいの人数でやるとしたらある程度1日に数をこなし、本数を上げていく必要があります。そうすると、どうしても本数を上げるという目的だけになってしまって、品質が落ちてしまいます。
社員さんたちに伝えているのは「私たちにとっては1日縫っている何百枚分の1枚でも、お客様にとってはそれがお金を出して買っていただける1枚になるんだから、かけがえのない1枚になることを思って縫いましょうね」という事です。

今後の目標

コロナ禍ということもあり、縫製業というのは非常に厳しい状況にもあります。着る物というものは、まず「着たいという目的」がありますよね。そして、着る事によって自分を表現したり、人に評価してもらったり、それを着て旅行に行ったり、食事に行ったりすることで、記念の中の1枚になっていくと思います。
そういった意味では服というのは大事なものだと思いますし、皆さんと一緒に時を紡いでいくような製品を作る1つの会社でありたいなと思っています。

若者へのメッセージ

日本にはたくさん物を作っている会社がありますが、やはり日本というのは元々物を作って成長してきた国でもありますので、物作りというものを続けていってもらいたいなと思っています。
若い方からすると非常に地味な業界に見えて、なかなか目が行きにくいと思います。
同じファッション繊維という中でも、作る方というのは非常に地味なので、皆さんに目を向けていただけないのですが、着られている1枚1枚には、少なからずその服を着て喜んでいただける方がいます。
デートに行く時にこの服を着たいとか、家族と今度旅行行く時にこの服を着たいとか、子供さんと出かける時にこの服を記念として1つ買いたいとか、そういった想いをもってもらえるように作っている人たちもいるので、少し頭の隅に置いていただけたらと思います。
そして、物作りというものを続けていくことで、若い方にも見つめてもらいたいです。