右上肢機能全廃の代わりと身につけたデジタル技術を活かし、建築・土木・自動車のデザインに従事。恩返しプロジェクトとして上肢障害者のQOL向上を目的に2015年に活動をスタート。幻肢痛緩和リハVR開発を始め、「幻肢痛交流会」を主催し、延べ70名を超える当事者をピアサポート。
東京造形大学(BA)・日本大学大学院理工学研究科(MA)・英国コベントリー大学 (MA)。

略歴
現在の仕事についた経緯
絶え間なく襲う痛みがあり、「これは後遺症だ」と治そうという考えにも至らずただ耐えていました。しかし、怪我後20年目にして名前があることを知りました。同じように苦しんでいる人が多く、中には自ら命を絶つ者までいるということを知り、肢体不自由以上に痛みが障害となっていると感じました。
この痛み、幻肢痛の特効薬はいまだ存在しません。痛みは主観であり、なかなか伝わりにくいものです。発症も緩和機序も解明されていないこの恐ろしい痛み、これを解決するには当事者が研究に参加することが重要ではないかと考えました。医療と当事者の橋渡しになろうと思い、それが使命と感じスタートしました。
アピアランスケア、肩パッド、補装具の開発も心を満たす重要なサポートであり、リハビリシステム開発と並行して行います。これまで数多くの支えでやってこられたことに、恥ずかしながらようやく気付き、恩返しする番だと感じています。
仕事へのこだわり
なにかをデザインするとは、それぞれのプロジェクトが抱えた課題を解決(=デザイン)することであると考えます。
生物を含む環境中心のイノベーションを念頭に、デジタル技術を活かし、建築・土木・自動車のデザインに従事してきましたが、どんな仕事でもとことん付き合う、寄り添う精神で邁進してきた結果、バラバラと思われていた知識・スキルそれぞれが融合し、結び付きだして、好きなこと、やるべきことが一致するようになりました。
まだまだ道半ばではありますが、この上なく充実した時間を過ごせるようになってきました。
若者へのメッセージ
人生設計(ライフデザイン)を楽しんでほしいと思います。何になりたいかはあまり重要ではなく、その肩書きを使って、なにを成し遂げたいか、どんな人間でいたいかを今一度考え直してみては如何でしょうか。
自分で自分をプロデュースするように、気になること、引っ掛かることに関わる・仕事にする・最終目標とすることが大事です。課題を解決するために、どう自分の好きなことやスキルが活かせるのかという順序で考えると、これから直面する問題は不平・不満とならず、目標到達のためモチベーションを高く持って乗り越えられる些細なステップと思えてくるでしょう。