Inoue Masayuki

井上雅之

株式会社アイミントライフ 代表取締役

現在の仕事についた経緯

1976年兵庫県生まれ。神戸学院大学経済学部卒業。在学中に阪神・淡路大震災を経験。卒業しIT系企業に就職、営業職に従事しました。27歳のときに商社へ転職し、事業部長や統括マネージャーなど、数々の役職を歴任。
その後、以前から興味を持っていた高齢者のサポート事業へ転身することになるのですが、そこには、家族を家族として頼れなかった私の複雑な家庭環境がとても影響しています。
私自身、父親が企業退職後、町議会議員に当選し、介護事業を営んでおりました。その後様々な事情で父親が自己破産し両親の離婚を経験。親族からの疎遠や借金返済等金銭的な困窮を経験しました。
私は若い頃から身元引受人・保証人がいないという理由から、就職や賃貸契約の際など、数々のシーンで苦労してきました。
起業を志した理由は、今後の人口減を見据えて、家族代行サービスに商機があると感じたことも一因ではありますが、やはり私が経験したような困りごとを解決できる会社を作りたいという思いが大きかったと思います。
その後、東日本大震災の復興支援ボランティアにてご縁のあった宮城県に移住し、支援者の方々のご協力を頂きながら弊社を設立したという流れです。
弊社が提供する家族代行サービスは、主に緊急駆付けサービス、日常生活支援サービス、身元保証人支援サービス、終活支援サービスの4種類です。
特に今回のコロナ禍では、ご家族が県をまたいでの移動が困難だったことも多々あり、高齢者の単独世帯の課題が浮き彫りとなりました。
そんな中でも、急な病気等の有事の際には弊社のスタッフが駆け付け、必要な手続きやサポート、介護・医療各関係事業者への情報共有をさせて頂くというのが弊社の家族代行サービスの概要となります。

仕事へのこだわり

私達はいわば家族の一員として振る舞うことが求められますので、こちらからの一方的なサービスの提供ではなく、相手の立場に立ち、皆さんが本当に必要とされていることを見極め、対応していくことが重要だと思います。
特に人生の終末期に差し掛かられているような利用者様は、昨日は「お墓を作りたい」とおっしゃっていたはずが、今日には「やっぱりやめる」と変わられるなど、ご要望が二転三転することも少なくありません。
ただ、終活に向けた準備をされているお相手の心情を考えれば、私達はやはりそのご要望の1つ1つを汲み取り、丁寧に対応していくことが肝要だと思います。
また、家族代行支援事業は認知度がまだまだ低いこともあり、利用者様の信頼性が薄いという点が課題です。その点、弊社では住宅セーフティネット法に基づいた「居住支援法人」として県から認定を受けていること、病院や介護事業者様など、必要な事業体と連携を図ってのサービス提供を行うことで、できるだけ安心してご利用頂けるよう努めています。

今後の目標

いずれは全国展開できるように邁進していきたいとは思いますが、東北6県を目標にまずは宮城から、地域に根差して取り組んで参ります。高齢者に関する問題は地域格差が激しく、よって企業も各地域のニーズに沿った展開を図っていかなくては、日本社会の抱える課題の解決には至らないと真剣に考えております。
私達が連携を図っていくべき病院や介護業、葬祭業といった事業者も、地域ごとに事情が違いますし、それこそ話す言葉から慣習まで異なることが多々あります。
このような課題を考えると、ただ企業規模を拡大させるのではなく、各ニーズに沿ったきめ細やかなサービスを提供できる法人を1つずつ増やしていくことが今後、弊社の目指すべき道と捉えています。

若者へのメッセージ

人生100歳時代。60~70歳で定年。そこからまだ30年あり人生は長いものです。現在は、サラリーマンでいることが当たり前の時代から、個人で稼ぐ時代へと移り変わりつつあるように思います。
そこで必要とされるのは、会社や肩書きに頼らない自分自身の「個」の力です。
その力は、会社に勤めている間にいかに学び、自己成長を遂げられたかどうかによって、後々大きな差が生じてくると思います。
社会に出れば大変なこともさまざまにあるかと思いますが、ぜひ諦めずに頑張ってください。