東京都出身。米国の大学院で教育学修士号を取得。都内にある私立中高一貫校の教頭職を経て、一般社団法人共創教育機構を設立。SDGsアクションを普及させるため、産官学を繋ぐ全国教育研究会を主催。SDGsに関する教員研修や大学での講演会講師も務める。近年、その活動が日本教育新聞や東洋経済などのメディアに取り上げられている。
略歴
現在の仕事についた経緯
新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、世界は一変しました。100年に1度の危機と称される中、DXにより人々の生活スタイルの見直しや働き方改革が一気に進みました。今まさに、私たちは「グレートリセット(Great Reset)」を見据えた世紀の転換点に生きています。コロナ禍というピンチは、第2次世界大戦後に築かれた社会システムの「常識」を見直し、持続可能な社会に再構築するための最大の好機でもあります。
これは教育界も同様です。私は学校経営職・管理職も含めて20年近く私学の教員を続けていますが、今、日本の教育界はこれまでの学校教育の「当たり前(綻び)」を再考し、世界の共通目標であるSDGsの達成に向けた教育のニューノーマル(新常態)を確立する大チャンスだと確信しています。この好機を生かし、昨年末に一般社団法人共創教育機構(英語名:Co-Credu)を設立しました。
仕事へのこだわり
「笑顔・感動・感謝」のクリエイターであることを人生のミッションに据えています。
25歳の時、新米教師ながら途上国の教育制度を視察しようとカンボジアのシェムリアップを単身で訪れました。縁あって、市内から片道3時間ほどかかる、電気・水道・ガスのない農村地帯に数日間滞在することに。そこでの体験が、人生観を変えました。
70年代の内戦の爪痕で、その村には小学校すらなく、300人を超える就学期の子どもたちは農作業や家事に従事していました。彼らに「人生の選択肢」は存在しないように見えました。一方、農村地帯には日本の都会にはない「美しさ」がありました。満天の星空、井戸での水浴び、炭火焼の食事、そして何といっても家族団らんのひと時。「ない」が価値を生む逆転の発想が、課題解決の着火剤となりました。
帰国後、国際協力NGOを現地に設立しました。日本人・イタリア人・カナダ人・カンボジア人が多国籍で協力し、2年後、村にたった3教室、教師4人の小学校を設立しました。開校後は正課の他に、英語と日本語の授業を設けました。村内の4家庭に協力を依頼し、高床式家屋で、電気・水道・ガスのないホームステイ制度を整備し、エキゾティック体験をしながら小学校で外国語授業のアシスタントティーチャーとして活動できる「ボランティアツーリズム」の仕組みを導入し、子供たちの教育機会の提供(学校経営)と村の活性化(貧困問題解決)の両立を図りました。
プロジェクトが始動してから17年、教室は図書館を含めて7教室に増え、敷地内に子ども寮(孤児院)も併設しました。延べ4000名を超えるボランティアが滞在し、カンボジアの小さな村は、「笑顔・感動・感謝」の花畑となりました。
「笑顔・感動・感謝」というミッションに、多種多様な人が集まり、自然とパートナーシップが形成されます。このプラットフォームに携わった人々は、共通の理念・目標達成に向けたプロセスの中で、各々自己実現を図っていきます。その結果、自然と社会課題が解決されていきます。そんなミッションの下に、自身のStyleは築かれてきました。
若者へのメッセージ
読書やセミナー等を通して知識を積むことはもちろん大切ですが、それ以上に「困難を伴う体験」を大事にしてほしいです。自分の好きなこと・得意なことを窓口に行動していくと、困難は「ワクワク」に変わってきます。
たとえば、「困っている人」に自ら会いに行ってみる。「困難」と思えることに自ら飛び込んでみる。「人生観を変える体験」こそが血肉化した人生のミッションを生み、その強い想いが周囲に伝播していく過程で他者との協働が生まれ、社会課題や環境問題は解決していきます。結果、関わる人々をハッピーにできます。
AIやメタバースの世界は、その核心に「人と人」「人と自然」のリアルが存在することを忘れてはなりません。若い皆さん、困難、おめでとう!