Kato Mikio

加藤 三基男

サン食品株式会社 代表取締役 http://www.e-konnyaku.com/

現在の仕事についた経緯

サン食品は1930年、私の祖父により創業され、当時からコンニャクの製造・卸を生業としてきました。先代である父から私に対して事業承継の話は一切ありませんでしたが、周囲からの期待もあってか、私自身も家業に入ることが親孝行に繋がるのではないかという考えは学生時代から持っていました。
学校を卒業後は6年間、畑違いの仕事を経験し、その後弊社への入社を決意した次第です。

仕事へのこだわり

世の価値観やニーズは時代によって移り変わり、それは食においても同様です。
たとえば父の現役当時は、戦後の食べるものがない時代で、とにかくお腹を満たすための食品をより多く生産することが求められました。
その後、飢餓の心配がなくなると、今度は食品の味が追及され、昨今のような飽食の時代には逆に「病気でも食べられるような食品」「病気の予防になるような食品」の開発が求められるようになったのです。
弊社も約10年前から糖尿病の方やダイエット中の方に美味しく召し上がって頂けるようなコンニャク製品の提供に努め、さらに高血圧の方の血圧を下げ、一時的なストレス緩和の効能を持つ日本初の機能性コンニャクを開発・提供するなど、活動の幅を日々広げています。
このようにニーズの変化に抗わず、むしろ楽しんで取り組んでいける会社でありたいというのが、私が代表に就任してから変わらず抱え続けてきた思いです。
ニーズの変化に応えられ続けられるということは、喜んで頂ける方の総数を増やせるということでもあります。
そうすれば社員全員が活き活きと働ける上に、社会からも評価され、時代がどのように変わっても継続的発展を実現できる会社であり続けられると思うのです。

今後の目標

弊社の製品をもって、現状「食べられない人」を食べられるように変えていくことです。
現在、世界的な食糧危機問題が騒がれていますが、そこで大きな要因とされているのが食肉生産にかかる環境負荷です。
科学技術の発展も望まれるところではありますが、私達が現状の食習慣を続ける限り、食糧危機問題および環境問題がクリアされることはないでしょう。
やはり重要なのは、シンプルに食肉の消費を減らすことです。そこで弊社では肉の代替品となるようなコンニャク製品を開発しました。
たとえばひき肉の中に混ぜ込むことによって、肉を食べた際の満足感はそのままに、肉の総消費量を減らす効果を狙っています。
完全な植物性代替肉はすでにアメリカ発のベンチャーが先陣を切っていることもあり、弊社ではとても太刀打ちできませんが、「従来の肉の消費量を半分に減らす」というハードルであれば、代替コンニャクは十分有用な製品だと思います。
創業以来、「食料が足りなくて食べられない」「持病などの身体的な理由で食べられない」といった数々のニーズに応えてきた弊社ですが、この「地球を壊してしまうから食べられない」という観点を新たにクリアすべき目標として取り組んでいきたい所存です。

若者へのメッセージ

いかなる変化にも耐えうるような人間になって頂きたいと思います。そのためには、既存のコミュニティにとらわれるのではなく、どんどん外へ出て、多くの人との出会いを楽しみ、新たな価値観を知ることです。
「人間」は人の間と書きます。つまり人は、たくさんの人と交われば交わるほど人間としての深み、厚みを身につけていけるのです。
それが知り合いばかりに囲まれて、代わり映えのしない生活をしていれば、価値観も発想もコンパクトなものになってしまうでしょう。
若い方と話していると、どこか「どうせ自分なんて」といった悲観的な側面が見えるのですが、一歩前に出るだけで見える景色はずいぶんと変わるはずです。
どうか内にこもらず、チャレンジを続けてください。