出版社にフルタイムで勤務しながら、2018年に「パラレルキャリア研究所」を設立。キャリアに関する講演・企業研修を行う。複数の軸足を持つパラレルキャリアについて学べるトークイベント「パラキャリ酒場」、スキルアップ講座「ゼロイチ予備校」、都心のビジネスマンと地方をマッチングするツアー「秘境PR部」などのイベントを開催。
秘境PR部として行った岐阜県飛騨市の民泊体験イベントは、内閣官房シェアリングエコノミー促進室「シェア・ニッポン100」に2年連続掲載。
2021年11月より一般社団法人クロスオーバーキャリア理事長、2022年3月より東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員、2022年6月より中野区区民公益活動推進協議会委員を務める。
略歴
現在の仕事についた経緯
新卒で出版社に就職したものの、希望していた編集部門ではなく庶務に配属されました。
「社外で文筆のキャリアを切り拓きたい」と思い、NPO法人でプロボノとして電子書籍を編集したところ、Amazonの3部門で1位を獲得。会社の外でもキャリアは作れる、と実感しました。
終身雇用も崩壊しつつある現代において、複数の軸足を持つ「パラレルキャリア」が新しい働き方のスタンダードになると感じ、パラレルキャリア研究所を設立して、新しい働き方に関する講演・研修、企業や自治体でのアドバイザー業務を手がけるようになりました。
仕事へのこだわり
24時間、「取材」だと思って過ごすようにしています。
今の時代、インターネットでさまざまな情報を集めることができます。講演や研修で、働き方に関する統計やガイドラインを取り上げることもありますが、それらは検索すれば入手できる情報です。
だからこそ、街に出て人の生の声を聞き、「働き方の実際」を自分の五感でとらえるように心がけています。講演や研修の質疑応答で挙がる声はもちろん、食事の席、美容師さんやタクシー運転手さんとの会話などにも「何かヒントがあるかも」と思い耳を傾けています。実際に、友人がつぶやいた会社への愚痴や、ランチタイムで隣の席の会社員がしていた会話が、講演のテーマのヒントになることもあります。
まだ世の中で広く知られていない「先進的な働き方」「面白い価値観」を見つけたり、世間では認知されていない「小さな悩み」を発見したりできるよう、日常の中でアンテナを張り、情報発信の質の向上を目指しています。
もう一つ、「本業と複業」「オンとオフ」などと分断させず、積極的に融合することも心がけています。たとえば、複業の仕事仲間に本業の仕事を依頼したり、友人や家族の会社のプロジェクトに参画したりするなど、積極的にキャリアや組織の垣根を越え、シナジーを生む工夫をしています。
このように、人生の構成要素を分断させず融合させていくことで、時間の質が上がり、より人生やキャリアを自らデザインしている実感も持てると思います。このようなキャリアの在り方を「クロスオーバーキャリア」と名づけ、2021年には一般社団法人クロスオーバーキャリアを立ち上げました。
若者へのメッセージ
一昔前までは、企業に入社して勤め上げれば安泰だと誰もが信じていました。けれど、時代は変化しています。終身雇用は劣化し、物価の上昇に賃上げは追いつかず、社会保険料も上昇して可処分所得も下がっています。
こんな世の中に「将来が不安だ」と感じる若者も多いはずです。ただ、不安自体は悪いものではなく、ある意味では健全な不安だと思います。もともと、未来のことは誰にもわかりません。「会社員=安定」という幻想を信じて思考停止せず、先が見通せないからこそ不安をエネルギーに変えて、今日を行動することが大切だと思います。
自分の人生をデザインできるのは自分だけです。私が推進している「パラレルキャリア」「クロスオーバーキャリア」は、会社に所属しながらキャリアをデザインする手段の一つなので、若手社会人や学生の方はぜひ視野に入れてみて欲しいと思います。