1984年、東京都生まれ。北里大学医学部卒業後、病院勤務を経て現在は産科麻酔科医として勤務。仕事の傍らで大学院に通い、「痛みと疲労の可視化」について研究。エンターテインメントの中に科学的根拠を織り交ぜる新しいスタイルで医療情報を届けながら、慢性的な痛みと疲労を緩和するためのポータルサイト「WiTH PAiN」の運営や、「車いす三銃士Herz」としてバリアフリー情報、「コロワくんサポーターズ」メンバーとして新型コロナワクチンに関して精力的に活動している。名前の由来は、友人が名づけてくれた「ミオシンフィラメント(myosin filament)=たんぱく質分子が線維状に結合したもの」による。
略歴
現在の仕事についた経緯
基本的に体調が悪く、仕事中に倒れないように、欠勤しないようにセーブしながら働いていたため、医師として自信を持つことができませんでした。転機は線維筋痛症と診断がついた2018年。病名で検索をしてみると、「医者にも家族にも見放されている」「社会的なサポートがない」といった悲観的な投稿ばかりで、いくら探せど、当事者のライフスタイルが見えてきませんでした。
背景には、慢性疼痛や慢性疲労に対する医療機関の体制や教育が整備途中で、適切な医療機関へすぐにつなげられないことがありました。社会的に孤立しやすく、治りづらい環境だと考え、2019年より患者と医者をつなぐyoutuber「WiTH PAiN」として活動し始めました。
仕事へのこだわり
「寄り添うより、待つこと」
長い間、痛みと疲労を理解されず、苦しい思いをされてきた患者さんばかりなので、「つらい気持ちを理解してくれる人物」を信じやすく、吊り橋効果のような心理状態に陥りやすいです。
「この人は信じられる」がいつの間にか「この人しか信じられない」という依存につながり、盲目的かつ排他的になってしまいます。医師が、患者を依存させてしまうような関係性は健全ではありません。倒れそうなときは支えつつも、立ち上がるのは患者さん自身になるようにそっと「待つ」ことも大事だと思います。
ただ、現実には「共依存」になってしまいがちなのは大きな課題です。それだけ、慢性的な痛みと疲労を診る医師が少ないということですから…。私自身のスタンスとしては、患者さんのメンタルブロックを解除したり、スタックした思考がすすめやすくなるフレームワークを開発することに集中しながら、なるべく患者さんの意思が引き出せるように努めています。
「お薬より、わくわく療法」
分野を絞らず、リウマチ内科や総合診療、統合医療の先生方を講師に、患者さん自身が痛みを多角的に評価できるようになるオンライン講座を作っています。体調が悪くても、動画ならご自分のペースで観てもらえるので好評です。
また、痛みと疲労で頭がいっぱいになってくると、いつのまにか好きなものや生きがいを手放してしまう傾向にあるので、わくわくすることこそが1番の治療だということを伝えています。コツがわかると、みなさん安心されて、上手に回復されていきます。
若者へのメッセージ
社会人になりたての頃は、周りの同僚と比べたり、焦ったりしやすい時期だと思います。ですが、成長速度はひとそれぞれですし、早く習得出来る人が本当に優秀!とは限りません。
一人一人のストレングスポイントは違うので、まずは、自分の性格を分析して、得意な分野を開拓していきましょう。一見雑用に見えるような仕事や、契約に結びつかなかったモノ・ヒト・コトでも、数年後にご縁が巡って素晴らしい仕事につながることがあるので、人間関係は大切に、そして自分自身を大切にしてください。
「最初の3年は仕事に全力で」といった風潮はまだまだ残っていますが、ご自分が大切にしてきた趣味や生きがいは、どうか、手放さないでください。仕事脳だとピンチを脱却する柔軟さが欠如しやすくなります。煮詰まった時こそ、気分転換や遊びの中で答えが見つかるもの。
いろんな人に出逢って、いろんなお話を聴きましょう。世界がぐっとひろがり、ものごとが多角的で奥が深く素晴らしいと気づき、仕事に必ず還元できます。どんな分野でもおもしろがって取り組んでください!がんばれ!若者!