Muraji Takeo

連 健夫

有限会社連健夫建築研究室 建築家 https://muraji.jp/

略歴

東京都立大学大学院修了の後、建設会社に10年勤務。胃の手術がきっかけとなり、1991年渡英。AAスクール留学、AA大学院優等学位を取得の後、同校助手、在英日本大使館嘱託を経て、1996年に帰国し、連健夫建築研究室を設立。設計活動の傍ら、まちづくりにも関わる。また、早稲田大学、芝浦工業大学で非常勤講師として教育にも関わっている。

【設計作品】
ルーテル学院大学新校舎:JIA優秀建築選、
はくおう幼稚園おもちゃライブラリー:栃木県建築景観賞
荻窪家族レジデンス:グッドデザイン賞

【著書】
「イギリス色の街」「心と対話する建築・家」など。

現在の仕事についた経緯

高校時代の通学路に京都国立国際会議場があり、カッコイイ建物だなあと思い、建築に興味を持ちました。大学と大学院で建築を勉強し、建設会社に10年間勤務しました。
胃の手術をしたことがきっかけで建築を学び直そうと思い退社し、家を売却して、そのお金で英国のAAスクールに留学しました。そこで建築に対する考え方が大きく変わりました。
特にセドリック・プライス教授の助手した経験を通して、建築家になりたいと思いました。そして帰国して自分の設計事務所を設立したという訳です。
英国で参加のデザインを学んだことから、建築設計において利用者参加のデザイン、街づくりにおいては、住民参加に関わって活動をしています。

仕事へのこだわり

英国のAAスクールで、プロセスを大切にすることを学んだこともあり、建築設計において施主や利用者としっかりコミュニケーションを取って設計をしています。施主がプロセスに参加することにより、使いやすい建築が生まれると考えており、建築家と施主との創造性をブレンドすることに興味があります。
その方法として、施主にコラージュを作ってもらい、それを設計のヒントにしたり、建設時に施主に床にタイルを好きなところに置いてもらって施工したりといったような工夫を行っています。
建築のスタイルとしては、素材の特徴を活かしたデザインを心掛けています。例えば、木は優しさのある木質感があり、ステンレスは金属のシャープな質感があります。それを適材適所、適した納まりで建築を作るということです。
また常に唯一のものを創りたいと思っています。それも施主や利用者の個性を反映したユニークな建築です。ユニークとは言っても街並みとの関係は大切です。時には馴染み、時にはメリハリといった具合です。
まちづくりにおいては住民参加を大切にしています。様々な立場の意見を良く聞き、その中からウィンウィンの方向を作ることが大切と考えています。このために様々なワークショップを行っています。タカラとアラの街歩きは、皆で街を歩きながら、タカラ(良い点)とアラ(問題点)を見つけ、タカラを活かし、アラを解決するアイデアを皆で考えています。
SDGsの配慮は持続可能な建築、街づくりをする上でとても大切です。独りよがりなものではなく、皆にとってどうなのか、地球にとってどうなのかを真剣に考えて活動したいと思っています。

若者へのメッセージ

自分の可能性を信じて、色々チャレンジしてもらいたいと思っています。興味を持ったものをトコトンやってみる。やってみて初めて見つかるものがあります。自分はできないのではないかと思わないで、まずはやってみることです。うまくいってもうまくいかなくても、そこで発見したものは人生の糧になります。
つまりアクション(行動)です。アクション(行動)を起こすことによって自分の能力を引き出すことになり、またそこに新たな出会いも生じます。人との出会いが、更に人生を面白くするということです。
計画を立てて、それに沿って生きていく方法もあるかと思いますが、それでは自分で作った計画に、逆に縛られることにもなりかねません。ある程度の方向性を作った上で、やりたいことをトコトンやり、そこで発見したことで柔軟に方向転換をしても良い、むしろそのほうが自分らしい方向性だと思います。そのことにより、自分の隠れた能力を引き出すことになり、個性ある人生をおくることになります。
私が今の仕事をしているのも、このような考え方で歩んできたからかと思います。建築の道を選び、胃の手術をきっかけに英国留学をして、そこで得たことを日本でやりたいと思い建築家になったという歩みから感じたことです。
自分のやりたいことというのは、充実感があり、楽しい時間でもあると思います。創造性には楽しさが不可欠です。つまり創造的な人生を送りましょう!というのが私のメッセージです。