出身は広島県広島市なのですが、いろいろとご縁がありこの「山県郡 安芸太田町」のスキー場に勤務することになりました。
元々は広島市内で正社員として働いていて、スキー場では冬のアルバイトとして6~7年勤務し、そろそろ転職をしようとしたタイミングで、スキー場の上司の方から「このまま働いてみないか」と言われ、そこからは飲食部門にて厨房長を務めるようになりました。
そのときによくお客様に尋ねられた質問が「地元の酒はないの?」です。
確かに言われてみれば、安芸太田町を拠点とするビール工場や酒蔵はなく、現在提供している日本酒やウイスキー、焼酎といったアルコールはすべてOEMで委託製造しているものばかりでした。
私自身、もともとアルコールが好きだったこともあり、安芸太田町産の酒造りについてはその頃から意識をし始めたように思います。
その後、夏シーズンのイベントにて、たまたま隣で出店されていた方がビール屋さんだったことから、工場見学に伺わせてもらい、ビール造りには地元のさまざまな食材が活用できることを知ると、ビール造りを通じて地域活性化に貢献できるのではないかと思い、思い切って独立開業した次第です。
現在の仕事についた経緯
仕事へのこだわり
私がなぜ、この縁もゆかりもない土地で事業を始めたのかと言えば、それは地域の皆さんが非常に温かく、親切だったからに他なりません。
地域の繋がりのない環境で育った私にとって、この繋がりはいつまでも継続されるべきものであり、私もそのための一助になりたいと考えたのです。
よって、日頃から「皆さんの支えあっての事業」ということを決して忘れず、出会いや感謝の気持ちを大切にしています。
しかし、そんな安芸太田町は現在過疎化が急激に進んでおり、私がこの町に来た13~14年前には約8000人だった人口が、6000人を切るような事態となっています。
したがって、他業種の方や自治体等も巻き込みながら、地域を元気にしていきたいということが、事業にかける最も大きな思いです。
現在、「安芸乃国酒造」のオリジナルブランドとして、「恐羅漢」「三段峡」「温井ダム」「井仁の棚田」「吉水園 (白)」「吉水園 (黒)」と6種類のビールを販売しており、こちらには地元産の米や菊芋、紫芋、かぼちゃ、ニンニクなどを使用しています。
このように地元産の農作物を酒造りに活かすだけでなく、私自らも農業をお手伝いさせて頂き、その活動を発信することで、少しでも農業の活性に繋がればと考えています。
今後の目標
これまでお仕事をしたことがない町内の農家様ともタッグを組み、コラボ製品の企画などを通じて、ビール事業をさらに盛り上げていきたいと思っています。
ここ数年はイベントの開催が難しくなっていますが、2023年からは時勢を見ながら弊社のオリジナルビールを皆さんに楽しんで頂けるようなイベントを企画・運営し、ビールを軸に据えた繋がりの輪をどんどんと拡大していきたい所存です。
また、現在はなかなか新規雇用には至っていないのですが、今後は雇用創出という面でも地域に貢献できればと考えています。
新たな風を吹かせてくれるような人材の採用を通じて、弊社も枠を定めず成長していきたいものです。
若者へのメッセージ
私が独立開業したのは、ちょうどコロナ禍の真っ只中でした。
1番最初の緊急事態宣言が出た週がオープンと重なったこともあり、期待していたイベント開催などは一切行えず、他にも思い通りにいかないことばかりで辛い時期が比較的長く続いたのを覚えています。
しかし「ここまでの苦難は、経営者人生の中で二度も三度も起きるはずがない」、そんな意識の切り替えをもってどん底から這い上がり、なんとか現在に至っています。
生きていれば、誰しも必ず調子の悪い時期は訪れるものです。
そんな時期こそ気持ちを高く持ち、ポジティブな結果を信じて突き進んでいくことが大切なのではないでしょうか。