Nakahashi Hisayuki

中橋 久行

株式会社中橋製作所 代表取締役 http://www.ns-co.com/

略歴

立命館大学理工学部卒業後、アフリカ音楽の演奏活動を行いながら、京都の民族楽器店にて店員として働く。音楽修行のため、アフリカ ギニア共和国を訪れ、村での生活を通して根源的な人間の生き方に感銘を受ける。
2006年、家業であった株式会社中橋製作所に入社。生産現場から生産管理、営業の現場経験を積み、2008年に取締役に就任。
2008年のリーマンショックにより経営危機に陥るも、多くのお客様からの再興の声を受け、経営再建を決意。あらゆる体質・仕組みを見直すとともに、新たな事業開発にも着手し、2012年危機的状況から脱出。
現在は、様々な産業分野の刃物・工具・高機能部品のコンサルティングから開発までを行う「刃物開発コンサルティング事業」を展開。ものづくり企業の現場力の向上に貢献している。

現在の仕事についた経緯

子供の頃から家業である中橋製作所には絶対入らない、と決めていました。しかし、心のどこかで自分たちの生活を支えてくれている家業への想いもあったのでしょう。
バブル崩壊から続く経営不振を受けて、自分の人生を支えてくれた会社、おじいちゃんが創り、父がつなぎ、多くの人たちの生活に貢献してきたこの会社を立て直すため、この仕事に就くことを決めました。

仕事へのこだわり

あらゆる物事において、「何のためにやるのか」ということを丁寧に見極めるようにしています。
「何のためにやるのか」という目的が明確であればあるほど、やるべきことは自ずと導かれていきます。

中橋製作所は戦後復興に取り組む人たちに少しでも早く住宅を届け、復興の後押しをするために生まれました。社会で困っている人を助けること。これこそが社会貢献であり、当社の存在意義だと考えています。
自分自身の存在意義を見つめ、どうあるべきか、を自問自答し続けることこそ、「何のためにやるのか」ということに他なりません。

現在、展開している「刃物開発コンサルティング事業」はお客様の依頼に対し、最初のヒアリングを通して、何のために取り組むのか、を設定します。
お客様自身が認識できていない想いや意図がその言葉の裏に隠れていることも多いので、カウンセリングのように丁寧にその真意を紐解いていきます。そのようにして「何のためにやるのか」を丁寧に見つめた案件は、かなりの高い確率でお客様の満足につながります。

当社が何かをすることで、お客様に喜んでいただく。その根源こそが「何のためにやるのか」をお客様と一緒になって探していくアプローチの中にある、と考えています。
これからの当社のあり方も、私自身の生き方やスタイルについても、自問自答しつづけ、常に進化・変化していきたいと思います。

若者へのメッセージ

「何事も経験すること」です。多様な経験はそれだけその人の器を大きくしてくれます。

20代30代はどんどん失敗していい。新しいこと、楽しいこと、気になることに片っ端から手を付けて、挑戦し、失敗し、学び、また挑戦し、その時々で浮かんでくる自分の想いを味わえばよいと思います。
楽しいことも悲しいことも悔しいこともうれしいことも、いろんな経験、いろんな想いを重ねていくことがあなた自身を豊かにしてくれます。
私もそうやって、常に新しい世界に挑戦し続けてきました。

やったことがないこと、見たことがない世界を怖がるよりも、勇気をもって一歩踏み出し、自分に新しい何かを与えてあげる方がよっぽど価値があります。
そうして新しい何かに触れて変わっていく自分を感じることが、あなたという人間の感性を磨いていってくれます。

経験することと合わせて大事なことが「どんなことでも楽しんでやろう」という想いを持つことです。

「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、それが好きであれば、どんどんのめり込んでいき、自然と人よりもできるようになっていきます。
だから、「好きになろうとする気持ち」や「好きになる才能」がとても大事です。
それさえあれば、自分と人を比べる必要はありません。
「自分はどんなことでも好きになれる。好きになれるということは人よりもできるようになるはずだ」という自信があれば、この世の中を楽しんで生きていけるでしょう。

苦手なことや大変なことでもその中には面白がれる要素があるはずです。
「面白い要素を探し出し、それをちゃんと面白がること」
これが、人生を楽しむ秘訣です。

しんどいことも楽しいことも、ドキドキするような新しい世界もやったことない仕事も楽しんでやってしまえばそれでいい、のだと思います。
あらゆることを自分の糧として、飲み込んでいくバイタリティはどんな時代でも生き抜く力になっていくはずです。