Nakamura Satoru

中村 哲

株式会社アレス 代表取締役 https://alles-inc.com/

現在の仕事についた経緯

もともとはアパレル企業に勤めていましたが、2001年に退職し、株式会社アレスの設立に至りました。
当初は「なんでも屋」のような業態で、頂いた仕事はすべて受けるような状態でしたが、「何でもやる」ということはすなわち「何もできない」と言っているのと同じことであり、それでは持続的な経営は難しいとの判断から、「カシミヤ」に特化することを思いつきました。
誰もが最高級の素材だと認識しているカシミヤは、ブランドを持たない私にとってまさに打ってつけの素材だったのです。
そこで会社員時代の人脈を活用して、世界トップレベルのカシミヤの産地である内モンゴルから高品質のカシミヤを仕入れ、カシミヤストール、カシミヤニットウェアの企画・製造・販売に取り組み、事業は軌道に乗り始めました。
一方で、アパレル業界でイノベーションを起こしたいと考えている自分がいたのも事実です。
「人は誰しも服を着る」というこの習慣性を活かし、着るだけで体調管理ができるような服があればいいのにと長年考えていたからです。
そんなある日、とある展示会にて「着るだけで血流が良くなり、パフォーマンスが上がる高機能素材」を偶然発見し、私の抱いていた「アパレルと健康の融合」が具現化できる算段ができたため、2020年より新規事業を展開し始めました。

仕事へのこだわり

昨今、アパレル業界は「大量生産・大量廃棄」の悪の業界のように取り沙汰されていますが、私も22歳でこの業界に入った際は同様の印象を抱いていました。
しかし私自身に業界を変えられるほどの力量や知恵があるわけもなく、さらに業界に身を置いているうちに、だんだんと無駄だらけの生産システムが当たり前のように感じられ、いわば思考停止状態で日々仕事に打ち込む毎日でした。
ただ、独立した今となっては、今自分がしていることが本当に良いものなのか、正しいものなのか疑問を持ち続けることが大切なのだと思っています。
「上司に言われたから」、「今までこのやり方でやってきたから」では、効率性の向上、新しい価値の創出は見込めませんし、それは自分自身の発展にも繋がらないからです。

今後の目標

着用するだけで健康促進に寄与できるアパレル製品の企画開発・普及をもって「アパレルと健康の融合」を具現化し、業界のリーディングカンパニーを目指して参ります。
現在は薬機法のハードルが上がっていることもあり、例えば「着用することで、リラクゼーション効果をもたらし、夜ぐっすりとお休みになれます」といったPR文が記載できないことから、商品の特性を上手く伝えられないもどかしさを感じています。
しかしその枠組みの中でお客様にいかに商品の魅力を理解頂き、「アパレルと健康の融合」という新たな価値に賛同して頂けるか、フォロワーをいかに増やしていけるかという点が今後の課題になってくると思います。

若者へのメッセージ

皆さんのような若い方は、無限の可能性を秘めている存在です。
したがって、自分の力量や未来をあまり決めつけずに、広く世の中を見て頂きたいなと思います。
私自身、アパレル業界に入った当時は視野が狭く、目の前の仕事をこなすだけで、業界全体ひいては社会全体のことを見れなかった部分がありました。
特に私の時代は「石の上にも3年」という風潮が強かったため、物事はただ継続することに価値があると思い込んでいたのです。
しかし、いろいろなものを見て体験して、比較した上で今の仕事が違うと思えば、新たな方向へ向かうことは決して悪ではないはずです。
そのように自分の行っていることが本当に良いことなのか、正しいのかを比較判断するためにも、まずはさまざまなことを知り、経験するところから始めて頂きたいと思います。