Nishida Hitomi

西田 ひとみ

合同会社 HITランド 代表 https://www.hit-land.biz/

略歴

2010年、大手音響会社に入社し、ブライダル音響オペレーターとして4年半勤務。
ホテルバンケットやゲストハウスなど多数の式場での経験を積み、退職後はフリーの音響オペレーターとして複数の音響会社に所属して活動。これまでに音響を担当した結婚式は800件超。
2020年、HITランドを立ち上げ、2021年9月に合同会社HITランドとして法人化。
現在も“想いを伝え、想いを叶える”結婚式の音響演出を担当する傍ら、後進の育成にも力を注いでいる。

現在の仕事についた経緯

大手芸能事務所の養成所出身で、元々は人前に出る仕事を目指していました。18歳で上京後、音楽の専門学校に通学しながら音楽活動を続けるが、音楽家としてのデビューは遠く、なかなかチャンスを掴めない日々が続きました。
22歳の時に死生観が変わるような大病を患い、地元に帰郷、挫折を経験しました。治療しながらアルバイト生活を送りますが、健康面や精神面でいまひとつ自信が持てず、20代は悶々とした日々が続きました。そんな私の転機となったのは、某有名テーマパークのキャラクターグッズの販売員として採用されたことです。これが1つ目のミラクル。
お客様へのホスピタリティを学び、お客様にいかに満足していただくかを考えながら動くようになりました。「お客様の幸せのためにサービスを提供する」という私の理念はここが原点となりました。
店舗にて2年間勤務し、契約が満了するという頃に、たまたま求人情報誌で見かけた「ブライダル音響オペレーター募集」の広告を見て、応募し、採用されたこと、これが2つめのミラクルです。
この会社が、私の人生を変えるきっかけになりました。

そして3つ目のミラクルは、今、こうして社長になったことです!

仕事へのこだわり

多くのプロフェッショナルが連携してひとつの結婚式を作り上げており、その中でも音響照明は重要な役割を担っています。音楽や照明などの演出により、「空間を演出している」という意識をもってオペレーションするのが私のこだわりであり、後進にも伝えていることの一つです。
結婚式は新郎新婦様にとって一生に一度の晴れ舞台。失敗が許されない仕事なので、本番前には何度も何度もしつこいぐらいに進行や音楽や映像をチェックし、とにかく丁寧に、細やかに、着実に仕事を進めることを心がけています。「お客様が求めているイメージと私のイメージにズレがないか」は、必ず確認することの一つです。
「空間演出としての音響効果」についても常に考えています。
例えば、どこかに食事に行った時に、ガチャガチャと音楽がうるさかったり、耳障りな音量でBGMが流れていたら、会話もしずらいですし、居心地も悪く感じますよね。逆に、音楽や照明の明るさでお料理がよりおいしく感じたり、リラックスできたり、会話が弾んだりする絶妙なポイントがあって、そういったところにも気を配ってオペレーションしています。
ある時「ライブ感を大事にしたいので、音量を大きめで流してほしい」というご要望がありました。その時は通常よりも大きめの音量で音楽を流しましたが、音楽を流すタイミングにもこだわってみました。司会者とすり合わせをし、進行が進む時に司会コメントを待たずに曲をチェンジして、音楽によってその場の雰囲気を変えるような、音楽で楽しいムードを作り皆さんを引っ張っていくような…。音楽が変わったら、ゲストの皆様も手拍子をしたり体を左右に揺らしながら楽しまれていて、新郎新婦様にも「楽しかった!」と大変喜んでいただけました。
ブライダル音響オペレーターは、結婚式の影の演出家、影のパフォーマーだと思っています。一組一組のカップル、ご家族にそれぞれ素敵なストーリーがあり、思いがある。その思いを、音楽や照明によって、より印象的に伝えるお手伝いができればと考えています。

若者へのメッセージ

立派な学歴も華やかな経歴もない私ですが、20代の頃からたくさんのことを乗り越えて、今があります。精神的な病やがんの闘病など、健康面での苦労が多くあり、若い頃は「就職をして実績を積む」ということができませんでした。自分だけが取り残されたような焦燥感や孤独感を長い間抱いていました。
30代で某音響会社に入ってからは、とにかく必死で働きました。社内での研修期間を終え、独り立ちしてからも、満足のいくオペレートができるまでに何年もかかりました。毎回、何かしら反省点がありました。技術面でもそうですし、コミュニケーションや、自身のメンタルの保ち方においてもです。しかし、そうやってつまづきながら人は成長するんだと思います。
コツコツとひたむきにやっていれば、その姿を見ていてくださる人が必ずいます。諦めずにチャレンジすること、前向きに努力することを忘れなければ、必ず道は開けます。がんばってください。