Nishihara Tsubasa

西原 翼

株式会社グッドツリー 代表取締役 https://caretree.jp/

来日、そして独立した経緯

私は中国出身で26歳の時にIT技術者として来日しました。28年間日本にいるので、人生の半分以上を日本で過ごしております。エンジニアの就労ビザで来日してすぐに就職するのは90年代前半当時としては珍しいケースでした。
最初に入社したのは、仙台に本社があるIT企業で、そこで任せられた仕事はブリッジSEでした。国内のソフト開発プロジェクトを海外に持って行き、海外で作ってもらってまた持ち帰って、日本のお客様に納品するというオフショア開発の仕事です。
10年間ブリッジSEとして日本と中国の間を行ったり来たりしてITの仕事をずっとやっていました。
コーディングをしたり、設計書を書いたりするソフト開発の仕事は、体力と集中力が求められます。今の仕事を40代、50代になっても続けられるだろうかという不安がありました。
当時在籍していた会社は、オフショア開発などのグローバル展開により、大きく成⻑できました。地元の他のIT企業もそういったオフショア開発のニーズがあるのではないか、オフショア開発のサービスを他の企業様にも提供できれば、自分もビジネスになるし、私の第2の故郷である杜の都・仙台にも貢献できるのではと思い、2005年にグッドツリーを立ち上げました。

震災復興により転機

2011年の東日本大震災で、殆どの仕事を失い、社員も辞めてしまいました。時間があったので、他のIT企業の仲間と被災地に行って、ボランティア活動を行いました。その時にボランティア先の介護施設から頼まれて、介護ソフト「ケア樹」の開発を始めました。当時の課題に対し、「簡単・安心・低価格」という三つの特徴を持ったクラウド型サービス「ケア樹」を2012年にリリースしました。
介護ソフトは、日本の介護制度に基づく介護報酬を計算・請求するためのシステムで、機能面の差別化には限界があります。我々は後発のイノベーターとして、2015年に業界初システム月額利用料0円の「ケア樹 Free」の提供を始めました。「ケア樹」をリリースしてから今年でちょうど10周年になりました。お陰様で全国3000以上の介護事業所が「ケア樹」を利用しています。
IT技術者として、パッケージビジネスは私の夢です。震災復興をきっかけに「ケア樹」事業ができて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。これから社員たちとパートナー様と一緒に「ケア樹」を大きく育てたいと思います。

今後の目標

いままでの介護ソフト「ケア樹」を、これからはプラットフォームとして進化させます。「ケア樹」のAPI(システム間を連携するためのインターフェース)を通して、パートナー様の見守り機器、ナースコール、IoTセンサーなどを連携し、介護業界のプラットフォームを目指します。
また、蓄積されたデータを分析し、介護現場のお役に立つ、付加価値の高いアプリを開発します。今後は、もっと大きなマーケットである中国にもビジネス展開したいと思っています。

若者へのメッセージ

自分のことをわからないままでいる人が結構多いなという印象です。まずは自分を分析して、自分の得意なことや、自分の好きなことを見つけ、自分に合う仕事をやった方が自分の潜在力を活かせると思います。
仕事はある意味、自分を磨く手段の一つであると考えております。まずは、自分の体とマインドの健康維持が重要です。そして、家族も大事です。最後が仕事という順番かなと思います。