Okabe Shinji

岡部 真治

ロック株式会社 代表取締役 http://lock6901.co.jp/

現在の仕事についた経緯

もともとはアパレル刺繍のデザインに従事しており、帽子専門店を共同で開業したのですが上手くいかず26歳にして数百万円の借金を背負うまでになってしまいました。
そこで「岡部ロック」を営んでいた父から、借金を働きながら返していくことを提案され、岡部ロックに入社しその後販売会社のロック株式会社に移籍し東京営業所で勤務していました。
しかし34歳の時に岡部ロックが倒産してしまったことで、0からのスタートを余儀なくされ、私はOBと2人で埼玉県の倉庫を借り、内装を自分たちで仕上げ、営業所を再開しました。
そしてOBが引退し、再スタートから7年後に100坪程度の倉庫兼事務所へ引っ越し2019年までは埼玉の営業所所長を務めていたところ、代表者が高齢になったタイミングで大阪に単身赴任し代表取締役に就任しました。

仕事へのこだわり

会社を経営するにあたって最も意識していることは、従業員の処遇を向上させるということで、パート社員も含め、全社員の報酬を大幅に向上させることを目標として掲げています。
前身である岡部ロック、ロック工業、岡部金属と遡り創業は1903年になります。
長く会社に勤めておられる人たちへの還元や未来を背負う若い社員への待遇の向上を最優先事項と考えています。
私自身が身近に倒産や自己破産という、あまり人が経験できないような状況を目の当たりにしてきたため、私が代表を務める間は必ず会社を存続させ、周囲の人から『ロックってどうすれば入れるの?』と聞かれるほど、従業員が幸せに働ける会社でありたいと常日頃から考えています。

今後の目標

弊社は「梱包」に携わる企業で、主に冷蔵庫や洗濯機などを取り扱う大手メーカー様に向けて、専用の梱包器具を製造・販売してきました。
物流業とも深い関わりのあることから、近年のEC事業の普及に伴うサイズの合わない梱包資材の乱用には懸念を抱いています。
日本の梱包といえば風呂敷文化が発端で、当時から梱包の基本的な前提は「外装を商品サイズに合わせることで、商品を壊れにくくする」というものでした。
しかし現在は大きな箱にごく小型の商品を入れ、余ったスペースにはむやみにビニールや紙製の緩衝材を放り込むという梱包方法がまかり通ってしまっています。
本来、ダンボールのサイズを調整できれば、緩衝材は基本的に必要ないのに、です。
そこで弊社では2cmの箱からテープを貼れる「LCB-H20」を開発し、特許を取得しました。
今後はこちらの拡販を通じ、梱包箱のサイズダウンや積載効率の改善を図り、ポストイン率の向上、ひいては再配達率の減少に貢献すると共に、無駄な資源や配送にかかるCo2排気量の削減、運送業界の人手不足解消の一端を担えればと考えています。
また、そのためには消費者の梱包に対する根本的な意識改革も必要となります。
皆さんに「今の梱包はおかしい」という違和感を持って頂くためにも、SNSを介しての啓蒙活動にも同時並行で注力して参ります。

若者へのメッセージ

私は昔、「やりたい仕事」ができればいいと、よく思っていました。
しかし今振り返ってみると、幸せへの近道は「今の仕事を、やりたい仕事にしてしまうこと」だったと思います。
例えばウェイトレスをやりたいと思っている人が、「人に雇われるのは嫌だから」という理由で喫茶店を始めても、大好きな接客にあたれるのは1日のほんの数時間で、大半は興味のない雑務が占めるはずです。
それは、どんな職種においてもそうなのだと思います。
だからこそ、自分がこなすべき作業すべてを含めて「これが私の好きな仕事」と気持ちを切り替えた方が気分も良いですし、どんな逆境に立たされてもきっとうまくいくと思います。
誰かのせいにしても会社のせいにしても、人生は一向に変わりませんが、気の持ちようで世の中は一瞬にして変わります。
それなら、しかめ面で悩んでいるよりも笑って行動している方がいいでしょうし、そんな人こそが、より多くの仲間を寄せ付けると思います。