Okamura Yasuyuki

岡村 泰之

一級建築士事務所 岡村泰之建築設計事務所 代表取締役 http://okamura-archi.nobushi.jp/

略歴

1960年 鳥取県に生まれる
1982年 芝浦工業大学工学部建築工学科 卒業
1984年 芝浦工業大学大学院修士課程建設工学専攻 修了
1984年 藤井博巳建築研究室 入所
1986年 SKM設計計画事務所 入所
1988年 第四建築設計社一級建築士事務所 設立
1995年~2001年 東京テクニカルカレッジ非常勤講師
2000年 一級建築士事務所岡村泰之建築設計事務所に改称
2010年~2015年 芝浦工業大学非常勤講師

著書:「ちくわハウス」(出版社:ラトルズ/2007年)、「増補 建築バカボンド」(出版社:イーストプレス/2012年)、「図解でわかる最高に楽しい住宅デザイン」(出版社:エクスナレッジ/2013年)

現在の仕事についた経緯

子供のころからものをつくる仕事をしたいと考えており、中学時代から建築に興味を持ち、京都のお寺を見て回っていました。高校時代に建築家になることを目標に決め、大学も建築しか受けず、デザイン計画系の研究室に入り、アトリエ系建築設計事務所で仕事を覚え、独立しました。
ほぼ想像していた通りに今の仕事に就くことができ、自分ではこれが普通だと思っていましたが、周りを見渡すと多くの人が紆余曲折を経て仕事に就いていることを知りました。
建築家には、それを目的に修行をしないとなることができません。いろいろな幸運が重なり多くの仕事をさせていただいています。

仕事へのこだわり

アトリエ系建築設計事務所での修業時代は、ボスから、「クライアントに対しても、建築現場でも、建築設計事務所が主導権を握らなければいけない」と教わりました。勤めているときはそのことを忠実に守り、常に関係者の中で上位の立場に立つ仕事の仕方をしていました。
こうした関係は、クライアントや現場監督さんや職人さんとの対立を意味します。独立してからも、しばらく同じやり方で仕事をしていましたが、ある時期に、「クライアントや工務店と対立する関係で仕事をするのはおかしい」と思うようになってきました。
自分自身もストレスを感じており、関係者との間でギクシャクした関係に嫌気がさすようになってきて、その時期に大きく方向転換をしました。
その後は、できる限りクライアントの要望を聞き入れ、それをデザインしていく方法を身に付けていきました。現場においても、現場監督さんや職人さんの意見を聞き、一緒によりよい建築をつくり出していく仕事の仕方を編み出しました。そうすることによって、参加者みんながやりがいを感じて仕事をできるようになったと同時に、いい仕事ができるようになったと思っています。
建築家の仕事は、よりよい空間デザインをすることと、クライアントの要望を無意識レベルまで引出してそれを空間デザインに置き換えていくということです。対立ではなく協働する関係でデザインすることで、空間デザインにも幅が出てきました。現場においても、こちらの指示だけで作業をしてもらうのではなく、現場監督さんや職人さんの意見をよく聞くことによって、よりよい納まりなどを発見することができるようになったのではないかと思います。

若者へのメッセージ

自分は、子供のころから建築家になるという目標を持ち、それを実現しました。目標を持ち、そこに到達すべく努力をすることが当たり前だと考えていました。しかし、学生や子供たちに接して話を聞くと、“自分が何になりたい”という目標を持つことはとても難しいことだということが分かってきました。自分の場合は、かなりなレアケースだったことを知りました。
自分のようになりたいものを見つけ、それを目標に努力をすることができればそれに越したことはありませんが、なかなか自分がなりたいものを見つけることは難しいことです。若いうちにいろいろなバイトなどをしたり、いろいろなことを体験することをお勧めします。その中で自分にフィットするものが何なのかを少しずつ見つけていってください。経験しないことには何も見えてきません。
フィットするものが見つかってきたら、それに関係する仕事を探してください。自分の居場所を見つけることがとても大事です。自分がそこにいて快適な仕事と場所を持つこと、それが大きな目標だと思います。それさえ見つかれば、大成功です。見栄を張らず、肩肘を張らず生きて行ける場所を見つけてください。希望を持って生きて行ってください。