Oki Saori

大木 沙織

医療法人緑生会 大木皮ふ科クリニック 副院長 https://oki.or.jp/

略歴

順天堂大学医学部卒業。三井記念病院での研修を経て、国際医療福祉大学病院で僻地での地域医療を学ぶ。内科専門医を取得後、院長が脳出血を起こしたことを期に2021年3月末、大木皮ふ科クリニック副院長に就任。現在は、学んだ地域医療を生かし、地域に根差した何でも相談できるクリニックを目指して副院長業務に勤しんでいる。

現在の仕事についた経緯

初めて医者という仕事を意識したのは、小学生時代に大流行したナースのお仕事というドラマがきっかけでした。ドタバタナースが主役ですが、その傍らで賢明に命を救うドクターの姿をかっこいいと思ったのです。
月日が経ち、進路を決める頃。人の役に立ちたいという漠然としたイメージがあったものの、世間知らずでどんな仕事が世の中にあるか分かりませんでした。その中で思いついたのが、あのかっこいいドクター達の姿でした。
また、ロックバンドQUEENが大好きだったのですが、ボーカルのフレディ・マーキュリーがエイズで亡くなってしまったことをとても悲しく思っていました。フレディのような人を増やしたくない、そんな思いもあり医者になることを決意しました。

仕事へのこだわり

三井記念病院で日本最先端の医療を学んだ後に、国際医療福祉大学病院で僻地医療を学んだ経験から、どのような人に最先端の医療を選び、どのような人にこの地域で診療を続けられるか、というような「仕分け」を得意としています。
現在も大学ではいかなる症状の患者さんも受け入れ、今後どうするか、どのような人を専門外来に送り、どのような人を地域のクリニックにお願いするかなどの判断を行っています。いずれにしてもある程度の方針を定めたうえで紹介しているため、患者さんも新しい主治医も戸惑わずに済むのかなと思います。

皮膚科医なのに内科専門医と公認心理師を取った理由の一つに、昨今の医療は診療科ごとに専門が特化しすぎているということを憂いていたという背景があります。何か身体で困っていることがあって病院に行きたい、でもどこに行けばいいかわからない、行ったら行ったで一つのことしか見てくれない…。そんな現状をなんとかしたいという気持ちがあります。
人の身体は一つ、分けて考えることはできません。更に今日の皮膚科は内科や心療内科をはじめとした他科と密接に関わっています。それぞれを知ることからより進んだ知見を得られるということを自負しています。

昨今は特に特定の部分だけをみるスペシャリストがもてはやされ、その人全体をみるジェネラリストが少なくなっていく現状があります。今この地域に必要なのはジェネラリストと考え、診療させていただいております。
特に自分が診療をしていて「あったらいいな」と思うものがたくさんあるため、少しずつですが地域貢献として導入を始めています。どれも、今までの自分が悲しい思いをした人々を思い出し、少しでもそのような悲しいことを減らしたいという気持ちからの行動です。

若者へのメッセージ

本をたくさん読みましょう。読みやすい流行りの本だけでなく、昔から尊ばれている本も読みましょう。書いてある内容だけでなく、その人の思考や性格、物の書き方まで幅広く教えてくれるのが本です。ノウハウだけを抽出することも役には立ちますが、一つの情報を深く読み込むことで自分の土台作りをしましょう。

【彼を知り己を知れば百戦危うからず】
「己を知る」には、様々なことを体験するのが一番。その中でも本というものは、他人の体験をいただける大切な機会。苦手なことは苦手のままでいいのです。それよりも、好きという気持ちを大切にしましょう。ドラえもんののび太だって、射的とあやとりは得意なのです。無理に野球をする必要はありません。わたしも物理や数学はとても苦手でしたが、幸いにも生物の師匠に恵まれたことがあり今に至ります。
「彼を知る」には出会いを大切にしましょう。いろいろな人と関わりましょう。わたしはSNSを通じていろいろな人と巡り合い、困ったときに助け合い楽しみをともに分かち合う人を多く持ちました。

最後に座右の銘である「兵は拙速を尊ぶ」。医療だけでなく投資や趣味でも、1分1秒の判断がその後を左右することはよくあります。人より早い行動を取るには土台作りがあってのこと。「その時」に備えて、チャンスが回ってきたら素早く行動しましょう。