Okubo Yosuke

大久保 陽介

株式会社新陽 代表取締役 https://www.shinyo-ltd.co.jp/

略歴

東京工業大学出身。大学時代に日本のエネルギー問題を解決しようと原子力の学科を専攻。気付いたらJAXAで航空宇宙の研究テーマになっていたが、担当職員の熱意に惹かれて研究をし、アメリカで開かれた国際学会に口頭発表で参加。修士課程の論文発表では最優秀賞受賞。大学院まで進学したが、研究者の道ではなく、経営者の道を歩もうと決心し、父親が創業した建設会社に2014年に新卒で入社。2021年6月〜11月まで同社社長に就任。2021年12月〜はグループ会社に出向し、代表取締役に就任。建設業界の当たり前の基準を高くするために日々業務を行なっている。

現在の仕事についた経緯

JAXAで研究させていただいた日々はとても楽しく、物を作っては性能テストをしての繰り返しでしたが、日本の中でもトップクラスの研究施設で、優秀なJAXAの研究員の方から指導いただけるのはとても有意義な時間でした。
一方で、研究を続けるうちに、研究者として優秀になるよりも人として成長したいと思うようになりました。父は25歳で業界の中でも存在感のある会社を立ち上げた経営者で、多くの人が尊敬している人だったため、単純にこの人と一緒に働けば自分も人として成長できるのではないかと思い、会社を引き継ぐ前提で父の会社に入社しました。

仕事へのこだわり

当社は足場工事の会社なので、職人をいかに育てるかがとても大事になってきます。私が職人を育てる上で大切にしているのは「尊敬・信頼・我慢」の3つです。
まず、どんな人であろうが、相手を一人の人として尊敬します。職人は毎日現場に出る大変な仕事をこなしてきてくれます。そのことに対して感謝し、職人がいるから会社も自分の生活も成り立っていること、大事な人であるということを念頭に置き、尊敬する気持ちを忘れないようにします。
そして次は信頼です。最初のうちはまだまだ未熟でも、仕事を任せないと成長しません。しかし、失敗する前提で任せては相手に気持ちが伝わって、「自分は期待されてないんだ」と思ってしまい、ただやらされて仕事をするようになってしまいます。そのため、「この子は絶対できる」と信頼する気持ちが大切です。
そして最後は我慢することです。どんなに信頼しても、やはり失敗はするし、ショックなことも起きます。それでも口うるさく言いたいことをぐっと抑えて、短く尾を引かない伝え方をし、次こそはやってくれると信じて我慢することです。
職人育成に限らず、私は人を育てる時、この「尊敬・信頼・我慢」を大切に仕事をしています。

若者へのメッセージ

とにかく30歳までは尖ってほしいなと思います。私は採用・育成もたくさん経験してきましたが、職場で成果を上げる人は「自分の哲学がある人」です。そして、自分の哲学を持っている人は、強い信念があります。強い信念は時として人とぶつかったり、世間とぶつかったりします。
そうした時に、周りの人100人に反対されてもそれを曲げずに突き通した人だけが大きな成果を得ることができます。そういった人は成果が出るまでは、「空気が読めない」「常識がない」「人の気持ちがわからない」などと言われますが、そうしたふわっとしたいかにも正論のような意見に惑わされず、自分の信念を貫いて欲しいと思います。
信念を貫く過程で、信念と同じくらい大切なものが出てくるはずです。そうした大切なものを大切にしているうちに、年を重ねて丸くなり、いつしか人格も備わってくる。そうした器の大きい人が少しでも増えるといいなと思います。