Satoyoshi Yoshihito

里吉 美仁

イーターコンサルティング株式会社 代表取締役 https://iterconsulting.co.jp/

略歴

日本大学文理学部卒業。2003年、イーソル株式会社入社。2007年、アクセンチュア株式会社入社。2011年、株式会社インテリジェンスビジネスソリューションズ(現:パーソルプロセス&テクノロジー株式会社)入社。ベトナムのソフトウェア開発会社設立・運営でホーチミン市へ移住。2018年に独立して株式会社エスエイウェアハウス(現:里薬品貿易株式会社)を設立。続けて2022年にイーターコンサルティングを設立し、現在に至る。
著書『ベトナムで起業した男(出版:ワンダーノート)』

現在の仕事についた経緯

新卒でソフトウェア開発、その後ITコンサルティングに携わったことが現在の仕事にも大きく影響しています。30歳を過ぎた頃からプレイヤーとしての限界を感じるようになり、潜在力の高い人材を育成し、チームを作ることが主な仕事になりました。
2010年代はJavaなどのソフトウェア開発を行うチームの育成をしてきましたが、2020年になりソフトウェア開発領域が成熟してきたことを感じ、まだ競合も少なく人材ニーズの高まっているITコンサルティング業界に再度戻ってきて現在に至ります。

仕事へのこだわり

私の新卒入社1社目では取引先の方々と関わることが多く、社内だけではなく社外にも無限に凄い技術者がいるということをこの時に理解していました。
また、ソフトウェアの業界においては定常業務(毎週、毎月、毎年繰り返される業務)は少なく、プロジェクト毎に異なる仕事を担当せざるを得ないため、自分の核となる経験と技術をつけるためには社内や取引先と交渉し、自分の進みたい領域のプロジェクトへの参画を獲得していく必要があったのです。社内で意見が通れば簡単なのですが、必ずしもそうはいかないため、転職や起業の選択肢も含めて自分自身でプロデュースしていかなければならなかったのです。

私の大きな転換期は30歳に差し迫る頃でした。ある程度ITの仕事に自信がついていた時、東南アジアへ目的もなく旅行へ行きました。そこで見たバンコク、ホーチミン、マニラの余白の多さ(現地の人々の生活に足りない物やサービスが多い、あったとしてもレベルが低い)に魅力を感じ、ここでITビジネスを立ち上げたいと強く思いました。
このタイミングで転職と移住を組み合わせ、新たな挑戦に足を踏み入れることができたのです。

やる気、気づき、勢いも大事なのですが、周りの人たちに理解・納得してもらえる一貫した経験と技術を備えておくのが最も重要だと考えています。
例えば「販売と人事と経理の経験があります」と言われても「この人は何をやりたいのだろう」と周りには不安に思われてしまいます。働いた会社は1社じゃなくて良いので、何か一貫してやり切った経験を持っているという事実が今後も評価されるのではないかと考えています。

若者へのメッセージ

「何歳になっても新しいことに挑戦できる」という考え方は私も同意なのですが、「ただし、核となる経験と技術を持っていたらより大きな挑戦となる」ということを付け加えておきたいです。
世の中で評価される経験と技術を得るには最低でも5年、プライベートの時間を学業や副業に全力投下したとしても3年はかかるのではないでしょうか。
この期間は脇見せず(例えば、趣味に多くの時間を取りたいとか、年収を上げるためだけに転職するなど)今周りにいるイケている人を見つけて喰らい付いていくのが良いと思います。

イケている人というのはすぐ横にいることは稀で、斜め上の方に居たりします。例えば、隣の部署のマネージャーで輝いて見える人がいたら積極的に自分を売り込めば良いと思います。
また、取引先の方に育ててもらったという人も多いです。厳しくて煙たがられるタイプのお客様の中には筋の通った方が一定数いらっしゃいます。こういう方は「この担当者、まだ仕事は荒いが伸びる可能性がある」と思ったら、上司を飛び越して1段階難易度の高い仕事を依頼されることもあります。取引額は小さくてもやり切れば次からは名指しで仕事が舞い込んでくるようになり、仕事の手応えを得るようになるでしょう。

労働人生は結構長いです。でも、面倒を見てもらえる・可愛がってもらえる期間というのは非常に短いです。本文章を読んでいただいた20代の方々が今持っている時間を最大限に活用して、核となる経験と技術をつけ、30代での大きな挑戦に繋げることを心から願っています。