Takase Yuki

高瀬友基

株式会社MADARA 代表取締役/一級建築士 https://madara-web.com/

略歴

東京理科大学工学部建築学科卒業。
建築設計事務所を渡り歩き、リノベーションに出会う。
住宅、事務所、店舗などリノベーション設計施工で400件以上の実績。
日本空間デザイン賞2019年に「東海道BEER川崎宿工場」と「MADARA OFFICE」の2作品が入選。
設計した住宅や店舗が多数雑誌・新聞などのメディア(東京新聞、yahooニュースなど)に掲載される。

現在の仕事についた経緯

小学校低学年の頃に、小さな小物入れを作るのが好きで、それを周りの人にプレゼントすると喜んでもらえたことが嬉しかったという原体験があります。
「自分が楽しんで作ったものを喜んでもらえるなんて、最高!」と思っていました。
子供でも大人でも人に喜んでもらえることって嬉しいですよね。私にとってはモノづくりがそうだったのです。
モノづくりの中でも、大学の建築学科で学んで建築家アトリエ設計事務所をいくつか渡り歩き、一級建築士を取得した後にリノベーション会社などで経験を積んできました。
2018年に独立し、リノベーションの設計施工を中心に活動する株式会社MADARAを設立しました。

仕事へのこだわり

「一級建築士を持ってるのになぜリノベーションなんですか?」と聞かれます。
リノベーションには新築ではできないことがあるからです。
人口減少、空家増加、資源枯渇、経済的不安など様々な問題がある中で、現代日本の課題解決にリノベーションは適しています。
さらに新旧の融合や、建物と建物にまつわる想いの継承など、新築では絶対にできないこともリノベーションではできるからです。
古いものと新しいもの・新しい使い方の組み合わせで、唯一無二の新しい価値が生まれることはリノベーションの醍醐味です。

ある時、リノベーション設計施工をさせてもらったお客様のお家に一年後にお邪魔させてもらうと、部屋はきちんと掃除片付けされていて什器も素敵で完成直後よりもさらにイイ感じになっているのを目の当たりにしました。
「できた時よりもイイ感じになってますね?」とお聞きすると、「高瀬さんと一緒に作った大切な家なので、維持しようもっとよくしようって楽しんで工夫してるんですよ。家だけじゃなくて自分達の意識も変わって生活の質が向上しました!」と教えていただき、空間って人の意識も変えてしまうんだなと学ばせていただいたのです。

そんな経験も通してたどり着いたのは『空間が生まれ変わることは 人が生まれ変わること』というコンセプトです。
心と体と空間はつながっていて、一つです。
体が良くなると心も元気になれるように、リノベーションで空間を生まれ変わらせると人も生まれ変わるんです。

また、空間デザインで重要なのは愛情がもてるようになるか、だと考えています。
人が空間に愛情をもって与えられるようになると、さらに居心地の良くなった空間から与え返されるようになるからです。
人と人の与えあう関係って気持ちのいいものですよね。
人と空間も与えあえるようになると、お互いに幸せになれると思います。
心と身体と空間が繋がって循環する幸せな広がりを創っていきたいのです。

若者へのメッセージ

生きることや仕事って何が大切でしょうか。
自分だけの楽しさや自分だけ得することばかり考えていたり、反対に相手の利益や相手の求めていることだけを追求していても、本当の喜びや幸せにはたどり着けないと思います。
自分も相手も喜び合えることを探すことが大切ではないでしょうか。

生きることや仕事って、なんでもいいからお金を稼げばいいってことではないと思います。
逆にお金を稼がなくても、夫や子供のために頑張るお母さんの家事だって立派な仕事です。

私は空間づくりの仕事をしていますが、このお客さんはどんな工事をしたいのか?(手段)ではなくて、このお客さんは今回の空間づくりを通して何を実現したいのか?(目的)を考えています。
相手の本当の願いに気づいて仕事ができると、感動を与えようと思って仕事をして、相手が喜んでいるのをみて逆に感動をいただいてしまうんです。

仏教に利他という言葉があります。
利他とは、自分だけ、相手だけ、ではなくて自他ともに喜び合えることなのかなと考えています。
私は小さなころに、自分のモノづくりで人に喜んでもらえるって嬉しい、という体験をしました。
たくさんいろいろな経験をして、自分も楽しい、人にも喜んでもらえて嬉しい何かを見つけてほしいです。
自分の善い個性を使って相手を喜ばせることは、自分の個性をさらに輝かせ、喜びが喜びを生む世界を創れるはずです。