Tanaka Keigo

田中圭吾

Lightmoment Inc. Lighting Director / CEO http://www.lightmoment.jp/

現在の仕事についた経緯

大学在籍当時、建築学科に所属していた中で、設計の講義でそれぞれ模型を作成して発表する課題が与えられるのですが、何度か発表をしているうちに、毎回自分の中でのテーマやコンセプトが、空間というよりは、光に関することだったことに気付きました。私は素材や形状よりも、光の工夫で空間を構築しようとしていたのだと。
そこで私は、光を自在に操れるようになれたら、もっと魅力的な空間が創造できるのではないだろうかと思いはじめ、ライティングデザイナーという仕事を見つけたのです。

仕事へのこだわり

光のデザインと言っても、様々な種類や考え方があります。
私が携わっているのは、光を用いて空間を魅せること、心地よくすること、つまり人が体験する場の光環境をデザインする仕事です。そこには、必ず空間を体験する第三者がいます。日々我々が生活している中で、光の存在はあまりにも当たり前のものとして認識されています。呼吸をするように、毎日太陽が昇っては沈み、一日の中で大きな光の変化があることも意識しないほどになっています。ですが、光のほんの小さな気付きから不便に感じたり、不安に感じたり、実は我々の生活に大きく影響を与えています。機能的なことはもちろんのこと、温かく感じたり、楽しく感じたり、緊張したり、落ち着いたり、不安に感じることもあれば、逆に安心させられたりもしています。光の考え方次第で、その空間の印象に変化を与えるだけではなく、人間の心、感情を左右させることができると私は感じています。
ただし、ほとんどの光は目には見えない代物です。何かにあたって初めて目にすることができますが、見えているものは光そのものではありません。そういった理由からも、可能な限り光を体験し、必ずその光に理由をつけて提案しています。
何気なくそこに光を置くのではなく、空間を利用することになる第三者の立場になって考え、どうしたらその空間を魅力的に感じてもらえるのか、心地よい、また来たいと感じてもらえるのかに重きを置いています。
私たちの仕事は、依頼者、さらには利用する第三者の方々の“目”になることだと考えています。

若者へのメッセージ

最近の傾向の中でのお話をさせていただきますが、今となってはスマートフォンの流通で誰もがその場で検索でき、様々な情報を得ることができます。学生を含めた若い人たちこそそのスマートフォンを活用しており、情報を得て事前準備をしていることが多いようです。
情報を得るということはもちろん大事で、仕事の状況でも当然相手のことを知り、分析して取り引きに臨んだりするわけですが、知りすぎてしまうと、それ以上のものを臨めなくなってしまうことにもなりえます。期待以上のものが得られなかったり、結局調べたものしか体験できなかったり。
私の体験を共有できるとすれば、あまり情報に惑わされず、自らの考えであったり、夢中になれる考えそのままを発揮してみた方が、期待以上の結果が生まれていることが多いです。それは、相手にとって予想していなかったことや、自ら考えもしなかったアイディアや行動に出られると、衝撃や影響を受けるからではないかと考えます。
もちろん考え方の傾向が逆で失敗することもありますが、それはそれで一つの経験となり、次のシチュエーションに活かすように考えることができます。若いうちに“自分の考え”をもとに行動する強さを身につけて欲しいと思います。