Taniguchi Tatsunori

谷口 達典

株式会社リモハブ 代表取締役 https://www.remohab.com/

略歴

大阪大学医学部卒業後、国立病院機構大阪医療センターや大阪大学医学部附属病院などで循環器専門医として臨床に従事。心不全の病態や予後予測に関する研究を行い、日本超音波医学会奨励賞等を受賞。渉外活動として、全国の心不全を志す若手医師が集う「U40心不全ネットワーク」における第6期代表理事を務め、現在も「NPO法人U40心不全ネットワーク」の理事を務める。大阪大学大学院在学中にスタンフォード大学発の医療機器開発人材育成プログラムであるジャパン・バイオデザインに第一期フェローとして参加、同プログラム第一号となる株式会社リモハブを創業。
現在も、週1回の診療を継続し、日本循環器学会JIYC(Japan International Young Community)の一員としても活躍する。循環器専門医および総合内科専門医。大阪大学大学院医学系研究科 博士課程(医学)修了(PhD)。

現在の仕事についた経緯

元々医師をしており、患者さんを診るのも研究も好きで、ビジネスに興味はありませんでした。なので、もちろん起業をしたいとも社長になりたいともさらさら思っていませんでした。ただ、医療の中で多くの患者さんを救える武器になる医療機器には興味がありました。
そんなときに、上司の先生からジャパン・バイオデザインという医療機器開発に関する人材育成プログラムについて紹介いただきました。
バイオデザインは、2001年にスタンフォード大学で創設され、10ヶ月間のintensiveなコースを通して、開発の初期段階から事業化を見据え、医療現場観察からのニーズを出発点として問題の解決策を開発し、イノベーションにアプローチするプログラムです。
私は、2015年に第1期フェローとしてこのプログラムに参加し、日本で医療機器開発をしていくことの重要性を感じ、2017年に同プログラム起業第1号となるリモハブを創業しました。

仕事へのこだわり

仕事では、“What?”、“How?”、“Why me?”が大事だと考えています。

私は、仕事で取り組む分野や領域(What?)は、やり甲斐や社会貢献性が感じられる、ということにこだわっています。そして、仕事の進め方(How?)としては、目標に到達するためには、何が本質的な課題なのか、何を解決することが一番近道か、ということを意識しています。

現在、遠隔心臓リハビリシステムの開発に取り組んでいますが、このシステムはこれまで通院しなければ受けられなかったリハビリを自宅でも受けられるようにするシステムです。
心疾患は日本国民の死亡原因第二位となる病気ですが、高齢の患者さんが多く、この高齢化が進む中で、非常に大きな社会課題となってきています。この心疾患の有効な治療の一つに「心臓リハビリ」がありますが、心臓リハビリは、病院に通院する必要があり、高齢の患者さんは通院するのも一苦労なため、現在のところ十分に受けられていません。
このように、心臓リハビリは、その有効性が確立されているにもかかわらず、実施率が低いということがわかっており、この課題を解決するべく、現在の事業を始めました。

そして最後の、自分の強みを活かす(Why me?)、ということも重要です。強みがなければ、他の人が取り組んだ方が効率が良いからです。
私の強みとしては、やはり「医師」であることなので、そこを軸足にこれからも世の中に様々な価値提供ができるようチャレンジしていきたいと思います。

若者へのメッセージ

現在開発している遠隔の心臓リハビリシステムを、運動だけではなく、栄養指導、服薬管理、生活指導も包括させ、在宅で疾病管理を完結できるようなプラットフォームへと発展させていきたいと思います。
また、運動は万病に効果があるので、心疾患だけでなく、運動療法が効くといわれている様々な疾患(生活習慣病、腎臓病、肺疾患、がん、うつ病、等)に展開していくことも考えています。このようにして、人々が生涯健康で幸せな人生を送れる世界を創っていきたいと考えています。
また、日本の医療機器産業はまだまだ世界で遅れをとっているので、これから日本発の医療機器をたくさん生むことで“Made in Japan”の医療機器が世界の医療を席巻することを夢見て、これからも事業に邁進していきます。みなさんも一緒に頑張っていきましょう!