Watanabe Kazumasa

渡辺 一正

新英産業株式会社 代表取締役社長 http://www.shinei-ind.com/

現在の仕事についた経緯

弊社は1961年、私の父によって創業され、私は2008年に代表に就任しました。
幼い頃から父を始め、私が最も慕っていた祖母からも事業承継についても話は聞かされていたため、小学生の頃にはすでに弊社を継ぐものだと自然に思い込んでいました。
社会人になってからは現在の仕入先でもあるメーカーに4年勤め、その後弊社に参画した形です。

仕事へのこだわり

昔から常に考えているのは、自分の前に道がなくとも、自分で切り拓いて、後世が歩めるような道を作りたいということです。その思想に通ずるところですが、「こんなものがあればいいのに」と思ったときは、何とか自らで生みだせないかと知恵を絞るようにしています。
また、信用、信頼、信念といった「信」は、これがないと何も始まらないと断言できるほど重要なものだと思います。物事はうまくいかないことも多々ありますが、そのときに自身の「信念」がなければ容易に揺らいでしまいます。そして周囲からの協力や支援を得られるだけの「信用」がなければ、物事は進んでいきません。
私自身の信念としては、他人に指を向けない、つまり他人のせいにしないことを心がけてきました。この公平でも公正でもない世においては、理不尽さを感じることも辛酸を舐めることも多々あります。しかしそんな環境に文句をつけても意味はなく、むしろ「ここで自分は何をできるか」と考えることがすべてのスタートラインだと思っています。

今後の目標

弊社はスポンジ、クッション材の製造加工事業を代々行ってきた会社で、これまではお客様のソファの中に入れるクッションという風に、BtoB事業をメインに行ってきました。
しかしどうしても労働集約型の加工業は収益を大きく上げていくことが難しいという側面があり、現在は新規事業を2つ立ち上げているところです。
1つは、BtoCに近い事業として、機能性寝具の開発・販売事業です。日本では5人に1人が何らかの睡眠障害を抱えているとされているため、心地よい睡眠をお約束できる寝具を我々の手で開発できればと思っています。
もう1つは、要介護状態を回避するための新商品の開発・販売事業です。先の超高齢化社会に向けて、国民の要介護人口を少しでも抑制したいと考えている国側の動向に合わせ、私達も新たな商品開発を通じて日本の社会課題解決の一助になれればと考えています。
いずれにおいても、ネット広告が主流になっている昨今は、我々からすると機能性の怪しい商品でも、一度火が点けば飛ぶように売れてしまうという傾向があります。
そのような現象に危機感を持っている私としては、きちんとした効果・機能性のある商品を流通させ、1人でも多くの方の健康問題解決に寄与したい所存です。

若者へのメッセージ

私のような年配者からすると、今の若い人達は優秀だと思わざるをえません。そんな皆さんの未来には夢と希望が溢れていると感じる一方、いかに頑張っていくかという事が重要なのかもしれません。
そこでアドバイスを2つさせて頂きます。
まず、行動する上では、「何が正しいか」という点が重要ですが、正論はときに諸刃の剣となります。よって、正しいというだけで人にぶつけるような物言いをしてしまうと、相手も逃げ道がなくなってしまい、ひいては皆さん自身の人格が疑われたり、物事がストップしてしまったりということが起こりやすくなります。ぜひ、正しくありながらも優しさを持ってください。
次に、たとえ物事がうまくいかなくても、決して周囲の環境や人のせいにしないでください。そして、自身の至らない点を認めつつ、与えられた状況下で何ができるかを前向きに検討していってほしいと思います。これは年齢に限らず、人が成長できるかどうかのコアの部分にも関わることです。
優秀で、物事の吸収が早く、順応性が高い皆さんであれば、きっとこれらを意識するだけで物事がスムーズに進んでいくだろうと思います。