Yabuuchi Kohei

籔内浩平

株式会社SHAROAID 代表取締役 http://www.sharoaid.com/

略歴

1991年、制作プロダクションのデザイナーとして入社。
1997年、CI開発に特化したブランディングファームに協業する、先に独立した先輩のデザイン事務所に転籍。
1999年、中国上海にもデザイン事務所を設置し、日本ブランドの中国市場進出をクリエイティブの側面からサポートする体制を強化。以降、化粧品ブランドのクリエイティブ開発が主軸となる。
ブランディングワークは受託業務であるため、自らブランドを立ち上げ、育てていきたいという欲求が芽生え、2019年、一念発起して先輩と主に化粧品企画会社SHAROAID(シャロエイド)を設立。現在に至る。

現在の仕事についた経緯

元々はグラフィックデザインを生業としていましたが、多くの化粧品ブランドの立ち上げやリニューアルに深く関わりを持てたことが、今の化粧品会社設立の原動力になっています。
これまで商業デザイナーとしてデザイン開発への対価は頂けていましたが、その後のブランドの成功も失敗も、納品後は無関係となってしまう。自らブランドを持つということは完全な自己責任、責任重大になり不安は当然ありますが、同時に大きな夢を持てる。今後もより優れた商品を作り出し、私たちのプロダクトが多くのお客様に受け入れられ、世界中、一人でも多くの方に当社の理念にもある「理想肌」お届けしていきたいと思っています。

仕事へのこだわり

新人デザイナーの頃から、比較されるその他の企画から自身のデザインが選ばれるにはどうしたら良いかを常に考えて開発に臨んでいました。
初めは同僚やコンペティターに負けることも少なくありませんでしたが、そこから学び取ることで「選ばれる」ための表現力が少しずつ身についたと思っています。思いついたアイディアがどんなに素晴らしくても具現化する力がなければ企画倒れ。商業デザイナーとしては失格です。なので取引先から「デザイナーって、そんなところまで考えるのですか?」と言われてしまうくらい周辺状況を把握して、デザインの役割というものを考える習慣がついたのかな、と。今の共同経営者もデザイナー出身で私との思考のアプローチ方法が面白いように全く違い、彼曰くは私はどうやら、かなり「ロジカル思考型のクリエイター」となるようで、このスタンスは化粧品会社を立ち上げた今でも変わっていないと思います。

SHAROAID初のエイジングケアシリーズ「S CONCEPT EMINENCE」には、長野県産の良質なワイン用ブドウの搾汁後果実から抽出されたサステナブルなエイジングケア成分をしっかりと配合していますが、成分採用の決め手は優れたケア機能だけでなく、背景にあるストーリー性に惹かれたことも大きい。ひとつの成分を見出だし、そこからの着想でシリーズのバックグラウンドから、レシピ設計、デザイン表層まで、しっかりこだわって作り込めたと思っています。

若者へのメッセージ

現代は、自身の価値観でモノやコトを自由に選択しやすくなり、同時に「スキ・キライ」を容易に発信できてしまう時代です。それが故に世代による価値観の差が明確になり、若者にとって年長者の感覚や価値観が理解しづらい時代なのかもしれません。ただ、時間は勝手に進むし、今、若者とカテゴライズされている皆さんが5年後10年後、20年後には、必ず次の若者が新しい価値観を打ち出してくる。所詮、世の中はそんな感じで回っています。
私は今50代ですが、自身が10代、20代の頃に思い描いていた50代はもっと成熟したイメージがありました。ただ、今の自分の感覚では、まだまだ新しさに飢えているな、と感じるし、「1回廻って、新しい。」という、少し前の価値感が新しい共感を生むという現象も、流行っていた&廃れていった当時を知る立場から見ると、とても面白い。自分と他人が、同じ時間軸で価値観が合うかどうかなんて運とか縁みたいなものですから、押し付けたり、押し付けられたりするようなものではないと思いますが、共感は世代を超えて存在します。
みなさんにはご自身の立ち位置(価値観)で共感を創出して欲しいし、それに私自身が共感できたら嬉しいし面白い。今の年代だからこそできること、やりたいことに果敢にチャレンジして欲しいですね。