2007年に臨床心理士、2019年に公認心理師を取得。精神科・心療内科クリニックや大学の学生相談室でのカウンセリング・心理療法を中心とした業務に従事して、クライエントの抱えるメンタルヘルスの問題の改善に取り組んだ。
2011年に臨床心理士が自分たちの専門性を発揮したカウンセリングを行うため、横浜市でNPO法人カウンセリングオフィスSARAの立ち上げに参加。
2014年より理事長に就任。
2016年には認定ファンドレイザーを取得し、NPOとしての資金調達にも取り組んでいる。
略歴
現在の仕事についた経緯
様々な職場でカウンセリングを経験する中で、親からの虐待や学校でのイジメ体験など幼少期からの傷つきをたくさん抱えている人に会ってきました。
小さいころから長く精神的な問題が続いている人は精神科や心療内科での薬での治療では根本的な問題がなかなか解決しないため、時間をかけてカウンセリングや心理療法を行う必要があるなと感じていました。一方でカウンセリングは保険適用ではなく料金が高く、特に長期間に渡るカウンセリングは高額になってしまうため、経済的に余裕がない人に心理的な支援が行き届かないこともめずらしくありません。
できるだけ料金を抑えつつカウンセラーが専門的なカウンセリングを提供したいという思いを持って個人で取り組んでいるベテランのカウンセラーの元で働くようになり、この取り組みをもっと大きくしたいと感じてNPO法人化し、今に至っています。
仕事へのこだわり
日本ではメンタルヘルスに関する取り組みが海外と比べて遅れていて、先進国のG7の中でも人口あたりの自殺率は一番高い結果となっています。
一方、日本では精神科や心療内科を受診する人は増えていますが、カウンセリングと聞くとまだまだ精神的に病んでいる人が受けるものという意識が強く、海外に比べて敷居が高いのが現状です。
2017年に「公認心理師法」が施行され、心理に関する国家資格の「公認心理師」が誕生して、これからカウンセリングが身近なものになっていくことが期待されていますが、まだ時間がかかるかもしれません。
行政が何かしてくれることを期待してただ待つのではなく、現場から少しずつでも現状を変えていきたいという考えで、「もっと多くの人にカウンセリングを」をモットーに活動してきました。それはカウンセラーの自己研鑽としてもNPOの運営としても、目の前の人をよくするために必要なことは何かということを考えることが軸にあったと思います。
ここ数年では助成金や寄付金をいただきながら低所得者の方に向けたカウンセリング料金を減額する取り組みも行っています。こういった取り組みは臨床心理士や公認心理師が運営している相談室としてはまだ珍しいかもしれませんが、NPO法人という特性を利用して、専門性を保ちながらも前例に捉われずできることいろいろやっていこうという姿勢で活動しています。
本当はカウンセラーという専門職として専門性を高めて困難を抱えている人をどうやって治していくかという点に専念できることがやりたいことの中心ですが、その専門性を活かして世の中にインパクトを与えられることも考えていきたいので、必要な人に必要な支援を届ける仕組みももっと作っていきたいですね。
若者へのメッセージ
どの仕事でも自分の研鑽を積むことが必要だと思いますが、同じ研鑽を積むとしてもできるだけ早い時期に動いておけるといいかなと感じています。
例えば何か新しく何か学び始めるとして、3年早く同じ内容を学んでいたらその3年間はより広い視野でより有益な経験を積んで成長できますし、その3年間に出せる成果も変わってきます。
「周りの人がこれくらいやっているから」という基準に合わせるのではなく、今の自分の特性や能力、目の前の仕事や人、世の中のニーズに答えるために何が必要なのかという意識を持ってチャレンジしてほしいですね。自分がよく知らない分野にも興味があったら飛び込んでみるという体験も視野が広がるので大切にしてほしいです。
一方で、ストイックに仕事のことだけで頭がいっぱいになってしまうと行き詰ってしまうので、人との交流の機会を多く持って楽しい時間や安心感が持てることも大事で、そういうプライベートの余裕がクリエイティブな発想を生むと思っています。