Yoshimura Koji

吉村 浩司

株式会社九州電化 代表取締役社長 https://k-denka.co.jp/

現在の仕事についた経緯

弊社は1960年、私の父によって創業され、これまでめっき・表面処理の領域において研鑽を積んで参りました。
全国めっきコンクールの厚生労働大臣賞で全国1位を5回受賞するなど、全国でも有数の受賞歴を保有しており、めっき業界で初めて現代の名工表彰を受けた技術開発部社員をはじめ、高い技術力を持った社員達に恵まれています。
父が49歳で逝去して以降は、母が2代目を務め、3代目は義兄、そして4代目を私が引き継いだという流れです。
私は学校卒業後、社会勉強として他社でおよそ3年間勤め、その後弊社に入社。2019年に代表取締役に就任しました。

仕事へのこだわり

この分野のプロフェッショナルとして、他社よりも優れたものを作るという気概を持つことです。
めっきと言っても、小さな案件から大きな案件まで多種多様にあるのですが、やはりできるだけ大きなもので成功を収めたいという点は、技術者ならではのこだわりかもしれません。
また、先代社長の方針であった「仕事は断らない」にならい、どんな小さな仕事でも、難しい仕事でも引き受けるようにしています。
それは、弊社のある福岡市がどちらかといえば工業より商業の町であることから、大きなメーカー様などの主力の顧客を持つ機会がなく、多品種少量のスタイルで事業を続けてきたことにも起因しているのでしょう。
このようにどんな仕事でも断らずに引き受けていると、たとえハードな仕事でもなんとかしようと工夫を凝らし、尽力するようになります。
それはつまり新たな経験をすることであり、成功か失敗かの結果よりも、ずっとずっと大きなものを得ることができます。
さらに、多くの仕事を引き受けていると、自ずと数十種類にも渡るめっきを総合的に取り扱うことになり、そこから新しいめっきの組み合わせアイデアなどが浮かぶこともあります。
このような新たな経験の積み重ねこそが、知識やノウハウの蓄積という形で弊社の資産になり、ひいては自然と後世への技術伝承の一助にもなっていると思います。

今後の目標

前述の通りめっきは多種多様であり、主に金属部品に使われるとは言ってもその用途は様々です。
例えば、外見の美しさを保つ装飾的な目的や錆を防ぐ目的、そして「機能めっき」と呼ばれる中には、電気を流しやすくするめっきや、表面の硬化を促すめっき、抗菌性を持つめっき、光の反射を抑えるめっきなどがあります。
しかしこの変化の激しい時代にともない、めっきも受注数が減少しているもの、逆に伸びているものと、その対照性が高まっています。
後者でいえば、電気自動車や水素社会、半導体関連は今後も伸び続ける見込みがあるため、弊社としてはその成長産業にいかに関わっていけるかが今後の目標となります。
また同時に、弊社にしかできないめっきを独自開発するなど、競争優位性を高めていきながら、大手企業とも積極的に事業提携することで事業規模を広げていきたいと考えています。
弊社は中小規模であるため、大手企業と比較すると社員の待遇面ではどうしても引けを取ってしまいますが、安定益な経営と企業の独自性を担保することで、社員達に「この会社で働けてよかった」と思ってもらえるよう、あり続けたいものです。

若者へのメッセージ

若いときは何でもいいので、たくさんの勉強と経験をしてもらいたいと思います。
もちろん座学での勉強は必要ですし、とても大切なものですが、自分で実際に物事をやってみる経験も等しく重要なものです。
やはり勉強してわかった気になっていても、実際に体感してみて気づくことはたくさんあります。
つまり、物事の真の理解のためには、知識と経験の両輪があって初めて成り立つということです。
したがって、社会人になっても「これは自分の仕事じゃないから」といった制約を設けることなく、自ら積極的に動き回り、多くの経験を重ねていってください。